2018年税制改正により、新たに「国際観光旅客税」が創設されました。恒久的に徴収する国税の新設は1992年の「地価税」以来、27年ぶりです。政府は、「訪日外国人旅行者を2020年に4,000万人、2030年には6,000万人」という目標を掲げており、観光立国実現のための財源を税という形で確保することとなりました。税収の使途には「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」「日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化」「地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上」が規定されており、税収は年400億円が見込まれています。
こうした出国に着目した課税は、国際的にみて珍しいものではなく、イギリスが1,860~62,600円、オーストラリアが5,230円、韓国が900円、台湾が1,810円、中国が1,500円、香港が1,670円で導入されています。※日本では、アジア諸国の料金を参考に、観光需要を冷やさない上限として1,000円に決められました。チケットの安さが売りのLCCにおいては、利用者の購入意欲の低下も懸念されています。
「国際観光旅客税」は、原則として、航空会社等の国際旅客運送業者が、チケット代金に上乗せする等の方法で、日本から出国する旅客(国際観光旅客等)から徴収し、これを国に納付します。税額は、出国1回につき1,000円で、平成31年1月7日(月)以後の出国に対して適用されます。
■課税されない者
以下に該当する場合には、本邦から出国した場合でも課税されません。
①船舶又は航空機の乗員
②強制退去者等
③遠洋漁業者
④公用船又は公用機により出国する者
⑤出国後、天候その他やむを得ない理由により外国に寄港することなく本邦に帰ってきた者
⑥乗継旅客(入国後24時間以内に出国する者)
⑦天候その他やむを得ない理由により本邦に寄港した国際船舶等に乗船又は搭乗していた者
⑧2歳未満の者
⑨本邦に派遣された外交官、領事官等(公用の場合に限る)
⑩国賓その他これに準ずる者
⑪合衆国軍隊の構成員及び国連軍の構成員等(公用の場合に限る)
■Q&A
Q 本邦からの出国1回につき1,000円課されるとのことですが、例えば、クルーズ船により本邦のA港から出国し、外国の港に寄港後、再び本邦のB港に寄港して出国する場合は、2回課されますか?
A 国際観光旅客等の国際船舶等による本邦からの出国に対して課されるため、ご質問のように、同一の者が2回出国する場合には、その出国ごとに1,000円の「国際観光旅客税」が課されます。
Q 楽器用の座席スペースを確保するため、1人で2席分の航空券を購入した場合には、2人分課されますか?
A 国際観光旅客等の国際船舶等による本邦からの出国に対して課されるため、ご質問のように、1人で2席分の航空券を購入した場合でも、出国する者は1人のため、1人分の「国際観光旅客税」が課されます。
Q プライベートジェットで本邦から出国するのですが、納付方法と納税地について教えてください。
A 国際旅客運送事業者を利用せずに本邦から出国する場合の納税地は、出国する出入国港の所在地となり、航空機等に搭乗する時までに納税地を所轄する税関に直接納付します。ハンドリング業者や代理店等に入出港に係る各種手続きを委託している場合には、その業者を通じて納付することも可能です。なお、この場合の納期限は「航空機等に搭乗する時まで」となり、納期限までに納付しなかった場合は、不納付加算税(納付すべき金額の5%または10%)及び納付するまでの日数に応じた延滞税が課されます。
出典:国土交通省観光庁「新たな観光財源の確保策について」