3回にわたって取り上げた財務分析シリーズの最終回です。前回取り上げた指標を改善する方法を紹介します。
◇【復習】前回取り上げた指標
・ 損益分岐点比率 = 固定費 ÷ 粗利益(限界利益) ・ 労働分配率 = 人件費 ÷ 粗利益 ・一人当たり粗利益 = 粗利益 ÷ 社員数 |
3つの指標すべての計算式に出てくるのが、「粗利益」です。そのため、粗利益をいかに増やす(拡大する)ことができるかが重要です。
また、人件費や社員数を適正にすることも、指標の改善に大きく貢献します。
◇【改善策①】粗利益を拡大する
粗利益 = 売上高 - 売上原価 = ( 客単価 × 顧客数 ) ― ( 売上高 × 原価率 ) |
粗利益は上の式で計算されます。そのため粗利益を拡大する方法は3つに分類できます。
1.客単価を上げる
2.顧客数を増やす
3.原価率を下げる
3つの方法を実践するうえで、意識していただきたいのが、以前青山通信でも取り上げた「ランチェスター戦略」です。競争の少ない市場(ニッチ市場、スキマ市場)や、顧客セグメントを絞り込んで、その中で「圧倒的なNo.1」を目指しましょう。
「No.1」の企業にはブランド力がつくため、販売価格を上げることも可能になり、顧客数は増加し、結果として原価率も改善されるという好循環が生まれます。
◇【改善策②】人件費、社員数を最適化する
前回も説明した通り、売上高や顧客数・販売数に比例しない費用を固定費と呼びますが、固定費の多くを占めるのが人件費です。人件費や社員数を適正に保つことで、利益が出やすい会社になります。
日本は現在、少子高齢化が進み、労働人口は減少の一途をたどっています。慢性的に人手不足であると感じられている経営者も少なくないでしょう。そんな時代だからこそ、効率性を重視して、同じ仕事量であればできるだけ少ない人数で、あるいは同じ人数であればできるだけ粗利益を拡大できるようにしていく仕組みを作ることが重要です。
近年ではクラウドサービスを始めとしたIT技術の革新に目覚ましいものがあり、特に事務作業に関してはITやAIをうまく使うことにより、自動化できるものもあります。最新技術を積極的に取り入れることも、人件費、社員数の最適化には効果的です。
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前々回、前回、今回と3回に分けて財務分析を取り上げました。このシリーズでご説明した視点を活かして、今まで以上に決算書や試算表の数字を有効に活用していただければ幸いです。財務分析、予算作成などにご関心のある方はキャシュモまでご相談ください。