中小企業が検討すべき福利厚生プログラムとは?

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労働者に帰属意識を持ってもらいながら働き続けてもらうための一つの検討材料として「福利厚生」が挙げられます。

福利厚生は、賃金や労働時間などの重要な労働条件と比較すると後回しにされがちですが、福利厚生の充実は長期勤続への誘引となります。今回は中小企業が検討すべき福利厚生プログラムにフォーカスをあて解説します。

福利厚生とは

企業が労働者やその家族に対して健康や生活レベルの向上のために賃金とは別に付与する報酬を指し、端的には企業が労働者へ提供するサービスです。

福利厚生は賃金と異なり、企業によって独自のサービスを福利厚生の対象としています。福利厚生を創設する背景は、日本は慢性的な少子高齢化社会へ突入しており、人材の獲得に難渋する企業が増えたことでした。

福利厚生を充実させ、特に有能な労働者には長く働いてもらうことで、採用コストや教育にかかる時間の節約にも繋がります。また、事業拡大のフェーズに移行した際にも、他社との差別化を図る意味で、福利厚生の充実はアピール材料になります。

特に近年はワークライフバランスの重要性が叫ばれており、入社を決定づける際には賃金だけに着目するのではなく、労働時間や福利厚生にも着目し、入社を決定するビジネスパーソンが増えています。

福利厚生の種類とは

福利厚生の種類は、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つに区分されます。

法定福利厚生

健康保険
介護保険
厚生年金保険
労災保険
雇用保険

法定福利厚生については、企業側に選択の余地がなく、法律上の要件を満たした場合には加入が義務付けられるものです。

これは中小企業であっても同じ理屈です。例えば、パートやアルバイトと称していても、週および月の所定労働時間が正社員の4分の3以上の場合は社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入しなければなりません(会社員の場合の介護保険は40歳以上65歳未満)。雇用保険については、週に20時間以上かつ継続して31日以上の労働契約を締結する場合、加入が義務付けられ、労災保険についてはそもそも被保険者という概念すらなく、労働者であれば法律上当然に保護の対象となります。今回は後述する法定外福利厚生を中心に解説します。

法定外福利厚生(一例)

家族手当
住宅手当
特別休暇
資格取得休暇
資格取得手当
提携するスポーツ施設の割引
提携する病院での健康診断補助

上記はあくまで一例ですが、前提として法定福利厚生と異なり、法定外福利厚生は法律上設ける義務がなく、企業の裁量で設けるか否かを決定することができます。

家族手当

配偶者や子どもがいる場合に、一定額の手当を支給することです。

長く働くことにより、結婚や出産などの様々なライフイベントにも多く出会うこととなるでしょう。そこで、長期雇用へのインセンティブの一つとして設けられていることがあります。尚、家族手当と次の住宅手当も、労働と直接的な関係が薄く、個人的な事情に基づき支給されるものであるため、原則として割増賃金の基礎となる賃金からも除外可能です(例外あり)。

住宅手当

通勤のため、一定額以上の賃貸物件に居住する際に家賃の補填として一定額を手当として支給することです。

住宅と言うと一般的には購入物件と賃貸物件に区分されますが、転勤がある企業の場合、各労働者は賃貸物件に居住していることが多いと予想されます。購入と賃貸によってどのように手当を支給するか、雇用形態(正社員とパート)の違いに応じて差を設ける場合、同一労働同一賃金の観点からも合理的な理由の範囲内で会社が判断することとなります。

特別休暇

親族の冠婚葬祭等の際に労働基準法で定める年次有給休暇とは別の休暇を付与するということです。

有事の際を考慮して年次有給休暇を残しておきたいという労働者側の事情にも配慮し、また、冠婚葬祭については長い職業生活の中であっても頻繁に起こることでもなく、比較的導入しやすい制度です。

資格取得休暇

「資格取得休暇」として、特定の資格試験の試験日の直前に休暇を取れる体制が整っていることで直前期の総復習にあてることができ、合格率も高くなることが予想されます。合格することが出来れば、会社としても労働者にその知見を発揮してもらいながら生産性の向上が期待できます。

資格取得手当

スキルアップが仕事の生産性に繋がるなど、資格取得は労働者だけでなく、会社にも恩恵がある場合は少なくありません。資格取得できた場合、一時金として、お祝いの意味を込めて一定額の手当を付与する場合や、継続して資格取得によって得た知見を業務において発揮してほしいという意味を込めて毎月の給与時に継続して手当を付与することなどがあります。

提携するスポーツ施設の割引

継続した労務の提供は健康な体があってこそ可能となります。そこで、運動に対する障壁を低くする意味で、会社が提携するスポーツ施設への入会割引などをおこなっている企業があります。コロナ禍により軽い運動であれば、自宅でもできるとの声もありますが、自宅に置ける器具の程度には限界がありますので、労働者目線で嬉しい法定外福利厚生と言えます。

提携する病院での健康診断補助

スポーツ施設と同様の発想で、提携する病院での健康診断補助も労働者目線では長期雇用へのインセンティブとなり得ます。人間である限り病院にかからないということはほぼありませんので、会社の「親心」が垣間見える法定外福利厚生と言えます。

なぜ福利厚生が必要なのか?

デフレや人手不足という状況は影響範囲が限定的とは言えず、多くの会社に影響を及ぼします。そうなると給与や労働時間は他社と差別化を図ることは難しくなります。そこで、他社との差別化を図るために福利厚生面に注力し、長期雇用へのインセンティブを感じてもらう戦略を採用するということです。

また、福利厚生については、労働基準法や、最低賃金法のように罰則が設けられているわけではありませんので、身の丈に合った導入が可能である点も中小企業にとって運用を開始する際のハードルが低くなると言えます。

中小企業が検討すべき福利厚生の内容は?

法定福利厚生は要件に当てはまった場合、選択の余地がないことから、法定外福利厚生に着目し解説します。

中小企業の場合に関わらず、一度導入したものの継続することが困難となった場合には不利益変更の議論にもなることから、身の丈に合った導入をすべきことは言うまでもありません。そこで、選択肢としては特別休暇と資格取得手当は中小企業にも導入しやすいと考えます。2つに共通する点として毎月発生するようなものではなく、資格取得手当についても合格時に一時金で付与するということであれば、継続的に人件費過多となることもなく、会社として法定外福利厚生導入実績として求人票にも掲載が可能です。

なお注意事項として、不公平感の出る施策は避けるべきです。例えばゴルフ場の割引制度などは、ゴルフをやらない人にとってはメリットにならず、ゴルフをやる人しか恩恵を得られないので、不公平感が出てしまい、従業員のモチベーション低下につながる可能性もあります。

福利厚生導入事例

一般的には家族手当を設けている企業は多く見られます。注意点として、例えば子供が就職し、家族手当の支給要件(生計維持要件)を満たさなくなったにも関わらず手当が支給され続けていたという事例があります。支給要件を満たしていないにも関わらず支給し続けていたことから、労働者へ返還を求めたところ、一括返済が困難であったことから、分割返済にて対応した事例があります。支給要件を満たしているかの確認は定期的に行うべきです。

コロナ禍における福利厚生のもつべき視点とは

労働基準法上支給義務のないものとして、通勤手当がありますが、一般的には通勤手当は広く活用されています。しかし、現在はコロナ禍により、政府からは在宅勤務が推奨されています。その場合、旧来と同額の定期代で支給し続けることは過剰な支給となり、出勤日数に応じた実費払いへ変更するなどの検討が適切です。

まとめ

経営者以上に労働者にとって福利厚生は注目度が高いのが実情です。自社にとってどのような福利厚生が相応しいのか、また、既に導入している場合であっても変更が必要かは適宜検討の機会を持つべきでしょう。

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