経理業務の平準化は大きな経営課題の一つです。
「経理担当者が必要な書類を作成するために残業することは仕方がない」と割り切っている経営者もいることでしょう。
しかし経理業務を平準化せず、そのまま放置しておくことにはデメリットがあることを経営者は知っておく必要があります。
本記事ではまず、経理業務を平準化しないことで起こり得るデメリットをお伝えします。
その上で、今から見直せる経理業務の平準化の方法をご紹介していきます。
経理業務を平準化して、会社のパフォーマンスを上げてみませんか?
経理業務を平準化しないことで起こり得るデメリット
まずは、経理業務を平準化しないことで起こり得るデメリットにはどのようなものがあるか見ていきましょう。
残業が常態化する
経理業務を平準化しないことでまず起こり得るのが、経理担当者の残業が常態化することです。
経理担当者が特に残業しやすい時期は、毎月の月初数日間と、決算書類を作成する時期でしょう。経理担当者が行う支払業務や、月次決算や年次決算の資料作成業務は、経理担当者でしかできない作業になります。しかもそれらの業務は、基本的に締め切りがある資料の作成ですので、限られた日数で資料を完成させなくてはならず、おのずと残業時間が増えてしまうのが実情です。
残業時間が多くなるからといって、簡単に締め切りを延長できないので、結果的に経理担当者の残業は常態化していきます。
また、経理担当者に仕事を依頼している経営者や他部署の人も、「経理にしかできない仕事だから仕方がない」という考えがあるため、残業時間を改善する方向には話が向いて向かって行かないというのもまた、残業を常態化させている一因です。
残業代がかさむことで経理人員を増やせない
経理担当者の業務が平準化されないことで残業代といった人件費がかさみます。これにより、会社の人件費が圧迫されるため、さらなる経理人員の確保ができない状態が続いてしまいます。
言うまでもなく、残業代はコストです。
もちろん、「残業代を支払って特定の経理担当者に仕事を依頼しておけば、コストは少なくて済む」という考え方もあります。
しかしこの考え方には落とし穴があります。
特定の経理担当者にばかり仕事を任せることで、その担当者の残業時間が増えます。それによって、その経理担当者の健康管理がおろそかになってしまいます。
また、特定の担当者に経理業務を依頼しているうちはよくても、その担当者が退職することになった場合、経理業務の引き継ぎが必要になってきます。そのような時、業務を共有している他の経理担当者がいれば引き継ぎはスムーズにいきますが、新たに経理担当者を採用するとなると採用までに時間がかかります。また、採用後も新任の担当者が独り立ちするまでに時間がかかってしまいます。
こうした状態では業務を効率的に進めることはできません。
経理が大変な部署という悪印象を与えてしまう
経理担当者の業務が平準化されず、残業が常態化されると、経理が大変な部署だという悪印象を他部署に与えてしまいます。
定期的に配置転換を行う会社であれば、「経理は残業ばかりしている」という悪印象から、経理への異動を嫌がる人が出てきてしまいます。
新卒の採用を考えている会社であれば、せっかく経理につきたい学生がいたとしても、実態を知ることで、経理を忌避してしまうかもしれません。
経理が大変な部署という印象は、会社全体で見ても、決して良い状況とはいえません。経理に異動できたはずの人が異動を希望しなかったり、採用できたはずの人が入社を辞退するような状態は、健全に組織が運営されているとは言い難い状態です。
経理の業務内容がブラックボックス化されてしまう
経理業務が平準化されず、偏った担当者にばかり業務を任せていると、徐々に業務内容がブラックボックス化されていってしまいます。
経理担当者がどういった仕事をしているのか、健全な経理資料を作成してもらうために、経営者はある程度理解しておく必要があります。しかし、特定の経理担当者に経理業務を任せきりにしておくと、経理担当者にしか分からない業務内容が生まれてしまいます。そして、その経理担当者が退職し、新たな経理担当者にその業務内容がうまく引き継がれないということが起こり得ます。これによって、経理業務にブラックボックスが生まれてしまうのです。
これは、経理業務の平準化とは程遠い状態であり、当然良い状態とも言えません。
今から見直せる経理の業務フロー
それでは、どうすれば経理業務を平準化していけるでしょうか。
ここからは、今から見直せる経理の業務フローを洗い出していきます。
経理業務のマニュアルを作成する
経理業務を平準化する第一歩は、経理業務をマニュアル化することです。
特定の経理担当者だけが行っている経理業務をこと細かくマニュアル化することで、他の人がマニュアルを見ながら業務に取りかかることができます。マニュアルが、経理業務の分担を助け、平準化をサポートします。
ただし、経理業務のマニュアル作成には課題があることも理解しておく必要があります。
課題の一つは、マニュアル作成に時間がかかることです。
通常の業務を行いながらマニュアルを作成することは、一時的に稼働時間を増やすことになります。経理業務を平準化するための一環としてのマニュアル作成ですが、この対策が原因で残業代がかさんでしまわないように注意が必要です。
もうひとつの課題は、いくらマニュアルを作成したとしても、正しく活用されないと意味がないということです。
経理業務には、ある程度経理の知識が必要です。社内マニュアルに頼るだけでは、イレギュラーな経理処理には対応できない事態が起きてしまいます。そのため、マニュアル作成だけで経理業務の平準化が実現できるわけではないことを念頭に置いておくべきです。
経理担当者でなくてもできる単純作業は、経理担当者以外の人員に回す
経理業務のなかには、経理担当者でなくともできる単純作業が含まれています。そうした単純作業は、経理担当者以外の人に依頼するのも、平準化の一つの方法です。
ただ、この方法を遂行するには他部署との連携が必要不可欠です。
業務負担を軽減していくなかで、経理の部署だけが優遇されて、他部署に負担がかかってしまうのでは、社内に不満が生まれてしまいます。そのため、この方法を実行するには、実行者である経営者が会社全体の状況をあらかじめ把握しておく必要があります。
一つの情報を受け取ったら、その時点で関連するすべての資料を更新する
経理業務のテクニックの話になりますが、一つの情報を受け取ったら、その時点で関連するすべての資料を見直し、更新するというのも、経理業務を平準化する方法です。
例えば、取引先から請求書が届いたら、支払処理の準備だけでなく、会計ソフト、買掛帳、資金繰り表といったすべての資料を更新していくのです。そうすることで、資料は常に最新の状態になり、一部の資料だけ未作成といった状況を回避することができます。
ただ、この方法は、受け取った請求書の情報が正しい時には有効ですが、請求書の情報に訂正があった場合は、やはり同じようにすべての資料を訂正していかなくてはならないので、その点は注意が必要です。
まとめ
ここまで、経理業務を平準化しないことで起こり得るデメリットと、平準化させる方法をご紹介してきました。
経理業務を平準化しないことで起こり得るデメリットとしては、残業が常態化することや、残業代がかさむことで経理人員を増やせないこと、経理の部署に対する悪印象を与えてしまうこと、そして経理の業務内容がブラックボックス化されてしまうことを挙げました。
また、今からできる経理業務の平準化の方法としては、経理業務をマニュアル化すること、単純作業を経理担当者以外の人員へ回すこと、そして、経理業務のフローとして、一つの情報を受け取ったら、その時点で関連書類すべてを更新していく方法があるということをご紹介しました。
しかし、ここに挙げた経理業務の見直しの方法は、実際に実行するのはハードルが高く、また、実行する際の注意点もありますので、なかなか手をつけられないかもしれません。
上記の方法で経理業務を平準化するのが大変だと感じられるのであれば、経理を丸ごとアウトソーシングしてパフォーマンスを上げるという手もあるので、一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。
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