2025年に改正された労働安全衛生法により、これまで努力義務であった従業員50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化されることが決まりました。義務化の施行時期は公布後3年以内(最長で2028年頃まで)とされており、中小企業では準備が必要となっています。
ストレスチェック制度とは、従業員のストレス状態を把握することで、メンタルヘルス不調の未然防止と職場環境改善につなげることを目的とした仕組みです。これまでは常時50人以上の事業場が対象でしたが、今回の法改正により、事業規模を問わず全ての事業場が対象となります。
労務担当者にとって、制度そのものの理解に加え、実務対応のプロセスを整えることが不可欠です。義務化に向けて、今から取り組んでおくべき準備事項を整理します。
制度の概要と義務化の背景
ストレスチェック制度は、従業員が自身のストレス状態を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防止することを目的とした制度です。
厚生労働省が推奨する調査票などを用い、ストレスの度合いを測定し、高ストレス者への医師面接の勧奨や職場環境改善につなげることが制度の趣旨とされています。
これまで50人未満の事業場では実施率が低い傾向にあり、中小企業におけるメンタルヘルス対策の遅れが課題とされてきました。今回の法改正は、企業規模にかかわらず、すべての労働者を等しく保護することを目的としています。
なお、ストレスチェックの結果は本人にのみ通知され、事業者は本人の同意なく結果を取得することはできません。人事評価や処遇と切り離して運用する点は、特に注意が必要です。
労務担当が今すぐ始めるべき準備
実施体制の整備
ストレスチェックでは、「実施者」「実施事務従事者」「面接指導を行う医師」など、役割分担が定められています。
中小企業では社内リソースが限られるため、外部の専門機関や産業医への委託を検討することが現実的です。
実施方法の選択
外部サービスを活用すれば、調査票の配布・回収・集計・分析を一括して行うことができます。
公平性・中立性の確保や、労務担当者の負担軽減という点でも、初めて実施する企業には有効な選択肢です。
高ストレス者へのフォロー体制
高ストレスと判定された従業員には、医師による面接指導の勧奨が必要となります。
面接後は、医師の意見を踏まえ、業務量の調整や就業上の配慮を検討します。個人情報の取扱いには十分配慮し、プライバシー保護を徹底することが重要です。
集団分析と職場改善への活用
部署やチーム単位での傾向を分析することで、業務負荷やコミュニケーションの課題が見えてきます。
分析結果を職場環境改善につなげることで、制度を形骸化させず、実効性のある取り組みとすることができます。
まとめ
ストレスチェックの義務化は、中小企業にとって新たな労務対応の負担となる一方、職場環境を見直す好機でもあります。
制度の基本を理解し、実施体制や運用ルールを早めに整えることで、義務化後の混乱を防ぐことができます。
労務担当者としては、「義務対応」にとどまらず、従業員が安心して働ける職場づくりにつなげる視点を持って、計画的に準備を進めてください。


