2026年10月から変わるインボイス制度特例措置~中小事業者が今から準備すべきポイント~

税務お役立ち情報

2026年10月から、インボイス制度の特例措置が大きく変更されます。
現在の「2割特例」や「免税事業者からの仕入税額控除80%特例」が終了・縮小し、事業者の負担が増加する見込みです。
「まだ時間がある」と油断せず、今のうちから準備を進めましょう。

インボイス制度とは

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、消費税の仕入税額控除を適正に管理するための仕組みです。
仕入税額控除を受けるためには、「インボイス(適格請求書)」の保存が必要になります。

【インボイス登録の有無による仕入税額控除の可否】

インボイス登録の有無で仕入税額控除が変わります。

現在の特例措置(経過措置)

インボイス制度による中小事業者の急激な負担増を緩和するため、以下のような経過措置が設けられています。

2割特例

・期間:2023年10月~2026年9月
・対象:インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者に転換した「新規インボイス登録事業者」
・内容:仕入税額の実額計算不要、売上税額の2割を納税

【例】売上にかかる消費税額が100万円の場合 ⇒20万円を納税

免税事業者からの仕入税額控除経過措置

・期間:2023年10月~2029年9月
・インボイス未登録の免税事業者からの仕入れについても、6年間は段階的に控除を認める経過措置
・現在(2026年9月まで):仕入税額の80%を控除可能

【例】免税事業者からの仕入にかかる消費税額が10,000円の場合⇒8,000円控除( 10,000円 × 80%)

・経過措置の控除割合は段階的に縮小します。

少額特例

・期間:2023年10月~2029年9月
・基準期間の課税売上高1億円以下など一定要件を満たす小規模事業者は、税込1万円未満の課税仕入についてはインボイスがなくても帳簿保存のみで控除可能

2026年10月からの特例措置の変更点

⚠️2026年10月からは「負担軽減特例」が段階的に終了・縮小します。

2割特例の終了

・2026年9月で終了
・2026年10月以降、売上税額の2割納税は不可
・小規模事業者も仕入税額控除の計算を全ての仕入について行う必要あり

免税事業者からの仕入税額控除割合の縮小

・現行:80%控除(2026年9月まで)
・2026年10月以降:50%控除

【例】免税事業者からの仕入税額が10,000円の場合
2026年9月まで⇒8,000円控除(10,000円×80%)
2026年10月以降⇒5,000円控除(10,000円×50%)

特例措置変更による中小企業への影響

経理負担の増加

・2割特例終了により、すべての仕入れについて仕入税額控除計算が必要
・インボイスの保存・管理、記帳内容の確認業務が増加

消費税の実質負担増

・免税事業者からの仕入税額控除割合が50%に減少
・仕入価格に転嫁しにくい業種では負担が増加

資金繰りへの影響

・控除減少による納税負担増
・資金繰りシミュレーションが必須

取引先選定の課題

・免税事業者との取引の見直し
・インボイス登録を促す交渉

2026年10月までに準備しておくこと

✅取引先のインボイス登録状況を再確認
✅免税事業者との取引量を把握し、見直し検討
✅経理体制の整備(インボイス保存方法の検討や会計ソフトの変更など)
✅納税負担増を見据えた資金繰りシミュレーション
✅社内教育・担当者研修

まとめ

2026年10月からインボイス制度の特例措置は大きく変わります。
負担軽減策が終了・縮小することで、経理業務の負担や納税額が増える事業者も少なくありません。
「まだ1年あるから」と悠長に考えず、今からしっかりと準備を進めることをおすすめします。
不安な点や具体的な対応策については、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。

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