2023年に成立した特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、通称「フリーランス保護法」が2024年の夏から秋ごろにかけて施行される見通しです。
この法律は、フリーランスと発注側企業間の取引を公正かつ適正に行うためのルールを設定し、フリーランスの働きやすい環境を作ることを目的としています。
業務を委託する会社側として気を付けるべき点を解説します。
対象となるフリーランス・取引とは
この法律は、個人で業務を受託するフリーランス(業務委託)と、それらのフリーランスに業務を委託する企業が対象です。
関係してくる当事者は具体的には以下の通りです。
- 特定業務委託事業者:フリーランス(特定受託事業者)に業務を委託する事業者。従業員を雇用している事業者に限られる(短時間・短期間の一時的に雇用される者を含まない)
- 特定受託事業者:業務を委託されるフリーランス。従業員を雇用していない個人事業主、もしくは一人社長。
業務委託とは、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託することをいいます。
発注側の会社がするべき対応は?
取引条件の明示
業務を委託した際、すぐに以下の内容を書面・電子メールなどで提示しなければなりません。
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- 報酬の額
- 支払い期限
- 業務の内容など
報酬の支払期日に規制が設けられました
例えば、「翌々月末支払い」などを採用している会社の場合、支払が60日以上を経過してしまう可能性があり、以下に示す新しい規制を満たさないかもしれません。
なお、支払時期が定められていない時は、「発注者が完成物を受領した日」が報酬の支払い時期とみなされます。必ず支払期日を提示しましょう。
- (原則)発注者が完成物を納品してから60日以内を支払期日としなければならない
- (再委託の場合)発注元から支払を受ける期日から30日以内を支払期日としなければならない
また、継続して委託している業務を解約する場合には、原則として30日前に予告する必要があります。
ハラスメントの防止
フリーランスに対する不公正な扱いは禁止されます。具体的には以下に該当する行為が禁止されます。
- 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること
- 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
- 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品すること
- 相場より著しく低い報酬の設定
- 正当な理由なく、指定した商品を強制購入させること
- 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更し、やり直しをさせること
これらに違反した場合には罰金などが科せられる可能性があります。