【労務Q&A】就業規則と法令等の関係

労務Q&A

就業規則と法令や労働協約、労働契約との関係はどのようにとらえればいいのでしょうか?

就業規則は法令やその職場に適用される労働協約に反してはなりません。

就業規則と法令の関係について

就業規則は、法律や法令に基づき制定された政令、施行規則等に反して定めることはできません。労働基準法や最低賃金法等に違反する就業規則の内容は、その部分については無効となり、無効となった部分については、労働基準法等の基準によることとなります。

行政官庁(所轄労基署長)は、法令に抵触する就業規則の変更を命ずることができます。

就業規則と労働協約の関係について

就業規則は、法令に反してはならないことはもちろん、当該事業場について適用される労働協約に反してはなりません。

労働協約とは、団体交渉などを通じて労使が合意した内容を書面に取りまとめて、双方が署名または記名押印した文章のことをいいます。

就業規則の作成義務は使用者にありますが、使用者が作成した就業規則よりも、労使双方が団体交渉や労使協議のうえで合意し、取りまとめた労働協約に就業規則に対して優越した効力を認めています。

行政官庁(所轄労基署長)は、労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができます。

就業規則の最低基準

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となります。無効となった部分は、就業規則で定める基準によります。この規定により、就業規則はその職場で適用される労働条件の最低基準を定めたものということができます。

例えば、就業規則ではパートの賃金を時給1000円としているのに、個別に締結した労働契約書や労働条件通知書では時給950円とした場合に、当事者が時給950円で合意していたとしても、時給1000円で契約を締結したことになります。

逆に、就業規則では時給1000円とし、 個別の労働契約書では、時給1050円とした場合は、就業規則に定める基準に達しているので、この時給1050円の合意は有効となります。


※個別労働契約うち、就業規則の定めを上回る部分については、個別労働契約の内容が優先となります。