「経営判断に役立つ現場の情報をすぐに知りたいが、各部門から集めるのに時間がかかってしまう。」
「ERPという言葉を聞いたことがあるけど、実際にどのような効果があるのだろう?」
このような悩みや疑問をお持ちではないでしょうか。
ERPを導入することで、現場業務の効率化や経営データのリアルタイムな可視化を実現することができます。今回は、ERPの概要や種類、メリット、デメリットについてわかりやすく解説していきます。
ERPとは?
ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略です。日本語でそのまま訳すと「企業資源計画」となります。
企業の資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」をまとめて管理し、有効に活用していくための考え方を指します。また、それらの経営資源を管理する人事システム、生産管理システム、会計システムなどを統合管理するシステムのことをERPと呼ぶことが一般的です。今回は、システムとしてのERPに関して解説します。
ERPの種類
ERPにはさまざまな種類があります。主なERPの種類を以下に4つ紹介します。
オンプレミス型ERP
自社サーバ上に構築するERPを「オンプレミス型ERP」と呼びます。「オンプレミス」には「敷地内」という意味があり、英語の「on-premise」が由来となっています。
後述するクラウド型ERPが登場するまでは、企業ではオンプレミス型ERPが主流でした。
オンプレミス型ERPは自社のサーバ設備内に構築するため、カスタマイズしやすく、システム間連携がしやすい特徴を持ちます。
一方で、導入コストが多くかかる点がデメリットと言えます。
クラウド型ERP
オンプレミス型ERPの対比となるシステムとして、「クラウド型ERP」があります。
クラウド型ERPは、クラウドサーバ上にERPを構築する点でオンプレミス型ERPとの差異があります。
オンプレミス型ERPのように自社サーバ設備を保有する必要がないため、導入コストや運用コストが抑えられるメリットがあります。
一方で、クラウドサービスのデメリットとしてあげられるセキュリティ不安面については注意が必要です。クラウドサービスを提供するベンダーはさまざまな会社がありますが、セキュリティ対策を含めて信頼できるベンダーを選ぶことが重要です。
パッケージ型ERP
必要となる標準的な機能をあらかじめ備えているERPを「パッケージ型ERP」と呼びます。
パッケージ型ERPでは、スピーディかつ低コストでのERP導入が可能になります。すでにパッケージ商品として出来上がっているので、独自にカスタマイズする必要がないためです。
ただし、デメリットも存在します。パッケージとして機能が規定されているため、パッケージ型ERPが自社の業務プロセスに十分にフィットするかどうかを慎重に検討する必要があります。
独自の商習慣や業務プロセスがある会社の場合は、特に注意すべき点と言えます。
フルスクラッチ型ERP
パッケージ型ERPの他に、「フルスクラッチ型ERP」というものがあります。
「フルスクラッチ」は、「オーダーメイド」のようにイメージするとわかりやすいと思います。自社の商習慣や業務プロセスに合うように、自由にカスタマイズできる点が特徴です。
一方で、高コストかつ導入に時間がかかることがデメリットと言えます。
ERPのメリット
ここでは、ERPを導入するメリットを5つ解説していきます。
業務プロセスの効率化や自動化が図れる
ERPを導入することで、業務プロセスの効率化や自動化が図れます。
これまで人事システムや会計システム、生産管理システムなどの各部門のシステムがバラバラだった場合でも、ERPによって統合管理することができます。
例えば、決算時期になると、各部門から集めた商品の受発注数や生産数を会計システムに入力する手間が生じると思います。また、人手に頼ることで入力ミスも発生し、大変な思いをしながら決算を乗り切るといった状況も出てくるでしょう。
ERPを導入することで、会計システムや生産管理システムのデータを同じデータベースで管理できるので、部門ごとのデータ入力の手間が省け、迅速な業務遂行ができるようになります。
ベストプラクティスとなる業務プロセスを実現できる
ERPの魅力の1つに、業界のベストプラクティスを取り入れられる点があります。
ERPパッケージのベンダーには、各業界において世界的な基準となる業務プロセスのノウハウが蓄積されています。ERP導入によって、成功企業の業務プロセス水準を自社に反映させることができます。
また、ベストプラクティスとの比較によって、自社の業務プロセスの無駄や改善の余地を洗い出す効果にもつながります。
データを一元管理でき、全体最適が図れる
ERPでは会社の各種データを一元管理できるので、会社全体での最適化を図ることができます。
会社を経営していくうえでは、部門間の分断や対立が生じることも実情としてあるかと思います。例えば、営業部門と生産部門の協力がうまくいっていない場合、両部門がそれぞれ持つ顧客管理データや生産管理データを効果的に連携できないといった問題が生じます。
しかし、ERPで各種データを一元管理できれば、上記のような個別最適の状況をシステム面から解決でき、会社全体視点での最適化を図ることができます。
経営データをリアルタイムで確認できる
ERPによって、経営データのリアルタイムな確認が可能になります。
ERPシステムにはデータ集計やデータ可視化ができる機能があります。ERPに蓄積されている売上データや在庫データをダッシュボードでリアルタイムかつ見やすく表示できるため、すぐに経営判断に役立てることができます。
コンプライアンス遵守につながる
ERPによるデータの一元管理は、社内のコンプライアンス遵守にもつながります。
データが各部門でバラバラに管理されていると、データの改ざんやセキュリティ漏えいのリスクが高まります。万が一社員の不正や情報の流出があっても、すぐに発見することは難しいでしょう。
ERP導入によってデータをまとめて管理することで、不正や情報流出の温床化を防ぐことができ、透明性の高い経営を実現できます。
ERPのデメリット
ERPのメリットがわかったところで、次はデメリットについて見ていきましょう。
導入コストや運用コストがかかる
ERPを導入する際のサーバ構築コストや導入後の運用コストには留意する必要があります。また、パッケージを導入する場合はソフトウェアライセンス費用も発生します。
自社のビジネス規模や予算に合わせて、適切なERPを選定することが重要です。
製品選定やデータ整備に時間がかかる
ERPにはさまざまな製品が存在します。数ある国内製品、海外製品のなかから自社に合った製品選定を慎重に行う期間が必要です。
また、製品選定後のERP導入時には、既存データの整備が必要となる可能性があります。同じデータの種類でも入力ルールがバラバラだった場合、統一する必要があるためです。
社員への十分な教育が必要
ERP導入後は、ERPを活用した新しい業務プロセスの策定が必要になります。
これまでの手入力を中心とした業務よりも効率化できるものの、慣れるまでは社員が戸惑うことも多いでしょう。そのため、ERP導入後の業務ルールや業務マニュアルの整備と、それらを活用した社員教育が大切です。
また、ERPは個別最適をできるだけ排除し、全体最適により効率化を目指すものなので、各部署の担当者にとっては必ずしも最適なものではない可能性があります。このため、ERP導入の目的をきちんと全社に浸透させないと、思わぬ反発が起こる可能性もあります。
まとめ
今回は、主に業務効率化や経営データの迅速な確認のためにERPの導入を検討している経営者に向けて、ERPの概要や種類、メリットおよびデメリットを解説しました。
ERPは導入にあたってコストや期間がかかるものの、導入後は業務効率化や経営判断の迅速化、企業ガバナンス向上が見込める便利なシステムです。
キャシュモでは、ERPやその他クラウドシステムを駆使したアウトソーシングを提供し、経理業務の効率化を実現します。ERPをはじめ、間接業務の効率化に興味がありましたら、ぜひキャシュモまでお問合せ下さい。