パーパス経営とは?注目される3つの理由と実施するメリットを解説

経営お役立ち情報

自社の存在意義を明確にし、社会に貢献する「パーパス経営」が今注目されています。

パーパス経営を推進する企業は以前からありましたが、企業を取り巻く外部環境が変化するなかで、その重要性が増してきています。しかしパーパス経営を正しく理解している経営者は、どれほどいるでしょうか?

この記事では、そもそもパーパス経営とは何なのか?注目される理由や、取り入れることで生じるメリットやデメリットについて解説します。パーパス経営を取り入れてみようと考えている人に向けて、自社で策定する際のポイントもお伝えしますので是非参考にしてください。

パーパス経営とは?

そもそもパーパス経営とは何なのでしょう?

パーパス(purpose)は目的や意図、思考などを意味し、企業の経営戦略やブランディングでよく使われる言葉です。そこから「企業の存在意義」という考えに広がったものです。つまりパーパス経営とは社会への貢献を意識し、自社が何のために存在するのかという「社会における自社の存在意義」を明言することなのです。

パーパスの概念が登場する前は、一般的な企業の理念体型はMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)でした。MVVはパーパスに似ていますが、本質は違います。MVVが将来自社のあるべき姿を示しているのに対し、パーパスは現在自社が存在する理由を示しているのです。MVVが理想像を掲げたスローガン的な要素であるのに対して、世の中から自社が必要とされることで長期的な成長を実現させるのがパーパスです。

このパーパス経営に、さまざまな企業がシフトしてきています。

パーパス経営が注目される3つの理由

なぜ今パーパス経営が注目されているのでしょうか?
主な理由は以下の3つです。

・新型コロナウィルスの感染拡大
・ミレニアル世代の台頭
・DXの推進

パーパスは、現在社会が置かれている状況と密接につながっているようです。それぞれ掘り下げて見ていきましょう。

新型コロナウィルスの感染拡大

1つ目の理由は新型コロナウィルスの感染拡大です。

社会のあり方が大きく変化する中、企業は自社のパーパスを見つめ直して、「社会に対してどんな貢献ができるか?」を考え実践し始めました。

例えば、トヨタ自動車が医療用フェイスシールドの生産に取り組んだり、シャープがマスクを生産したりしたのもパーパスに沿った行動だと言えます。

コロナウィルス感染拡大で社会が大きく変化する中で、企業の考える「自分たちがやるべきこと」は、パーパスが指針となっているのです。

ミレニアル世代の台頭

2つ目の理由はミレニアル世代の台頭です。

ミレニアル世代とは、1980年代から1990年半ばに生まれた人を指します。これは、これから企業活動や消費の中心になる世代でもあります。

ミレニアル世代の特徴は社会貢献に対する意識、すなわちパーパスが高いことです。これにはミレニアル世代が幼いころにバブル崩壊を経験しており、経済状況が厳しい時代に育ったことが関係しています。つまりミレニアル世代の共感を得るためにも、企業は社会における自社のパーパスを策定し、明確に打ち出すようになったのです。

ミレニアル世代は、他にも以下のような特徴が見られます。

・モノよりも体験重視
・独立心が旺盛
・仕事とプライベートの両方を重視

ミレニアル世代のこれらの特徴を理解したうえで、自社のパーパス策定に繋げるのもこれからは必要でしょう。

DXの推進

3つ目の理由はDXの推進です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、企業のDXへの取り組みの目的自体が問われ始めました。

DXとはIT化で企業が生産性を上げて、収益性を高めることだけではありません。DXを推進することで自社が「変革」し、パーパスを掲げ社会に貢献することが目的です。つまり、自社がDX化する目的と、社会への貢献がリンクしなければいけない時代となったのです。

パーパス経営を取り入れる3つのメリット

次にパーパス経営を取り入れる、以下3つのメリットについて見ていきます。

・ステークホルダーの共感を得られる
・従業員のロイヤリティが高まる
・企業ブランドが向上する

ステークホルダーの共感を得られる

パーパス経営するうえでの1つ目のメリットは、ステークホルダーから共感を得られることです。

ステークホルダーとは、企業活動するうえで影響を受ける全ての利害関係者のことです。健全なパーパスを掲げ真摯に取り組む企業は、ステークホルダーから支持や共感を得られやすくなります。結果として企業価値が上がり、経営にも好影響を与えるのです。

従業員のロイヤリティが高まる

企業がパーパスを取り入れる2つ目のメリットが、従業員のロイヤリティの高まりです。

従業員の立場で考えると、以下2つではどちらの企業に尽くしたいと思うでしょうか?

・ひたすら自社の利益追求に重きを置く会社
・パーパスを掲げて、働く意義や目的を明確にした会社

当然後者で働きたいと考えるはずです。

パーパスを掲げることによって、従業員は誇りをもって業務を遂行するようになります。結果として従業員のワークエンゲージメントが高まり、以下のようなさまざまなメリットを生み出すことに繋がります。

・メンタルヘルスが安定し離職を防ぐ
・ポジティブな発想が生まれ結果にコミットする
・向上心が高まり学習意欲が湧く

企業ブランドが向上する

パーパス経営3つ目のメリットは、企業ブランドの向上です。

企業が掲げたパーパスに共鳴した消費者は、その企業の商品やブランドに価値を感じてくれます。これまでのブランディングは、消費者のターゲットを絞り自社の価値を訴求する方法が主流でした。しかしパーパスによるブランディングは、社会への貢献や存在意義を訴求することで共感を集めます。

結果として、商品やブランドに対する長期的な愛着に繋がるのです。

パーパス経営を取り入れる2つのデメリット

反対に、パーパス経営を取り入れることで生じるデメリットは何でしょうか?

以下2つのデメリットについても見ていきましょう。

・パーパスウォッシュと指摘される恐れがある
・ESGの対応にコストがかかる

パーパスウォッシュと指摘される恐れがある

パーパス経営を取り入れるうえでのデメリットの1つが、「パーパスウォッシュ」と指摘される恐れがあることです。

パーパスウォッシュとは、環境に配慮していると謡いつつ、実情はかけ離れていることをしている「グリーンウォッシュ」から派生した言葉です。パーパス経営をアピールしながら、実際の経営内容がパーパスに沿っていなければ、ごまかしだとみなされ企業イメージを落とすことになります。

パーパスウォッシュとみなされないためにも、現場で遂行する社員全員が共感できるパーパスにしなければいけません。

ESGの対応にコストがかかる

パーパス経営2つ目のデメリットは、ESG対応にコストがかかることです。

ESGとは企業の持続的な成長に必要な観点で、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字からくる言葉です。このESGの観点が薄い企業は、投資家からの積極的な投資に繋がりません。しかしESGへの取り組みは、企業にとってコストがかかる可能性があるのです。

社会貢献度も大切なのですが、社会に貢献する前提として、利益がなければ企業は存続できません。よってパーパス経営を行う上で、過度なコストがかかり企業の存続が危うくなる事態は避けなければならないのです。

自社のパーパスを策定する3つのポイント

ここまでご覧になって、自社でパーパスを掲げようと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

最後に、自社でパーパスを策定する際の以下3つのポイントについてお伝えしますので、是非参考にしてください。

・自社のビジネスと関連づける
・社会の問題解決につなげる
・利益を生み出すものにする

それぞれ掘り下げて見ていきましょう。

自社のビジネスと関連づける

パーパスを策定する際、自社のビジネスと繋がるものでなければいけません。

もし自社のビジネスと全く関係のないパーパスを掲げたとすれば、関係企業や顧客の共感を得ることはできないでしょう。当然ノウハウもないので、問題が解決できません。

自社を取り巻く環境を踏まえ、あくまで自社のビジネスと関係のあるパーパスを策定することが求められるのです。

社会の問題解決につなげる

掲げるパーパスは社会問題の解決につながるものでなければいけません。

冒頭でお伝えした通り、パーパス経営とは「社会における自社の存在意義」なのです。

現代社会では、以下のようなさまざまな社会問題が存在します。

・労働問題
・環境問題
・人口問題
・人種問題

こうした社会の問題を解決するための、パーパスを策定しなければなりません。

利益を生み出すものにする

本来企業は利益を追求するものであって、ボランティア団体ではありません。

いくら社会の問題解決のために素晴らしいパーパスを掲げても、赤字に陥るようではいけないのです。ビジネスを通じて雇用を促進し、納税することで地域に貢献するのが企業の大前提です。この大前提のもと、社会貢献と利益確保の共存が必要になるのです。

まとめ

外部環境が著しく変化する現代では、時には向かうべき道が分からなくなってしまう可能性があります。情報が氾濫し、捉え方を間違えると、世間の批判を受けるような事態に陥りかねません。経営者にとって、慎重に判断しなければいけない場面が続くでしょう。

そんな時に、正しい道に導くのがパーパス経営なのです。

人類社会において、様々な課題が浮き彫りになっている状況が続いていますが、今こそあらためて自社が社会に存在する意味や意義を考え直す絶好の機会だと言えるでしょう。自社を見つめるとともに、一度パーパス経営について考えてみませんか?

キャシュモでは、財務や税務・労務・経理の専門家がワンストップで様々な経営課題へのアドバイスを提供します。パーパス経営に限らず、経営に関するお悩みは、是非キャシュモへご相談下さい。

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