デザイン思考とは?具体的なプロセスまで徹底解説

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デザイン思考と聞いて、どのようなイメージをお持ちですか?
「デザイン」というワードから、見た目や形を整えるというイメージを連想したり、付箋を使って議論したりするような、ワークショップを想像される方もいらっしゃるかもしれません。

デザイン思考は、デザイナーのように、クリエイティブに問題を解決することを意味します。少し抽象的でわかりづらいのですが、ユーザーに選ばれるビジネスを創造していく上で鍵となる概念です。

今回の記事では、「デザイン思考」をわかりやすく解説していきます。具体的にプロセスにも踏み込んでご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

デザイン思考とは何か?

クリエイティブに問題解決しようとする姿勢

デザイン思考は「こうすればクリエイティブな発想が生まれる」というような方法論・フレームワークというよりは、常にデザイナーのような意識でクリエイティブに問題を解決しようとする姿勢・意識づけのことを指します。「デザイン思考」というよりも、「デザイナー思考」と表現する方がわかりやすいかもしれません。

それでは、デザイナーのように、クリエイティブに問題を解決するとはどういうことなのかみていきましょう。あらゆるデザイナーや建築家が同じような方法でクリエイティブなアイデアを生み出すわけではないように、クリエイティブな問題解決方法は一様ではありませんが、多くの場合に意識されるアプローチ例をご紹介します。

・過去の慣習や検討内容を手放し、0ベースで考える。
・本質的な問いを立てる。問題に対して、「それはそもそも問題なのか?」と問うなど。
・ラフに試作(プロトタイプ)を作り、フィードバックを踏まえながらブラッシュアップしていく
・徹底的にユーザーの視点(行動・感情・思考)に立つ
・抽象と具体、論理と直感を往復する

論理的思考との違い

論理的思考において、課題解決を目指すというゴールは、デザイン思考と同じですが、取り組み方が異なります。論理的思考では、課題が生じている要因を分析・分解し、構造的に、MECEに(もれなく、ダブりなく)整理し、重要な要因を起点として、解決策を模索していきます。論理は考えや議論を進めていく上での筋道・繋がりを意味しますが、論理的に考えるとは課題から解決策まで、誰もが理解し、納得でき、確からしい形で繋いでいくことと捉えられます。

デザイン思考においては、ユーザーの感情に寄り添うことを基点として解決策を導くなど、課題解決のプロセスにおいて主観が入りますが、論理的思考においては、課題解決のプロセス自体に「誰もが納得できるような」客観性が求められるという大きな違いがあります。

アート思考との違い

アート思考は、デザイン思考や論理的思考とそもそもゴールが異なります。アート思考は何かの問題を解決したり、何かに貢献することを目指したりするのではなく、自身の奥底から湧き出る情熱や妄想、個性を形にするという行為そのものを目的としています。結果として、何かの問題を解決したり、誰かの役に立ったりすることがあるかもしれませんが、思考の出発点はそこにはありません。

あらゆる思考法は混ざり合っている

ここまでで、デザイン思考、論理的思考、アート思考の違いをお伝えしてきましたが、人々が物事を考え、構想している脳内では、3つの思考が厳格に別れるわけではなく、実際のところは混ざり合っています。

加えて、どの思考が望ましいとか、どの思考は望ましくないというわけではなく、普段、論理的思考ばかりを取り入れているビジネスマンは、デザイン思考やアート思考も取り入れ、組み合わせて課題解決を行う必要があると言えそうです。

デザイン思考が注目されている背景

デザイン思考が注目されている背景として、ありとあらゆるモノ・サービス・情報に溢れている現代において、個人の価値観や生活様式が多様化してきていることがあります。

モノやサービス、情報が限られていた一時代前は、「いいもの」「便利なもの」を作れば、多くの人が珍しがり、価値を感じて購入していました。しかしながら現代は、あらゆる価値が飽和状態にあります。「いいもの」「便利なもの」は当たり前であるため、ユーザーが見たことないようなプラスアルファの価値を模索し、提供し続けないとマーケットの中で生き残れない傾向にあります。

ビジネスにおいて、デザイン思考が重要な理由

既存の常識や考え方から抜け出す

消費者やマーケットの変化が激しい中で、商品・サービス、そして企業のあり方を変化し続けなければ、生存競争において不利になっていきます。既存の慣習や考え方から抜け出し、変化し続ける上でも、デザイン思考は重要になってきます。

優れたユーザー体験を創造する

あらゆるモノ・サービス・情報が氾濫している時代において、商品に便利な機能を持たせたり、何かの役に立つサービスを提供したりするだけではありません。それらを利用・体験する一連の流れにおいて、ユーザーがポジティブな感情を抱くような価値を提供する企業に、消費者が集まる傾向にあります。そのような優れたユーザー体験を創造する上でも、デザイン思考で徹底的にユーザー視点に立つことが重要です。

行動のスピードを加速させる

消費者やマーケットの変化が激しい中で、完璧なものを時間かけて作るのではなく、ラフな試作を展開してから、消費者とともにプロダクトを作り上げていくような柔軟性・スピード感がある企業がビジネスを制する傾向にあり、そうした点でも、とにかくアイデアを出し、試作し、ブラッシュアップするというデザイン思考の発想が重要になってきます。

デザイン思考の取り入れ方

繰り返しになりますが、デザイン思考はクリエイティブに問題を解決しようとする姿勢であり、「絶対にこうではないといけない」というような方法論があるわけではありません。デザイン思考の代表的なプロセスとして、「観察・共感」「定義」「概念化」「試作」「テスト」という5段階プロセスをご紹介します。

観察・共感

ユーザーを観察し、ユーザーの感情に共感していくフェーズ。アンケートやインタビューなどにより、ユーザーの情報を定量的・定性的に収集し、ユーザーが本質的に求めていることは何か、深堀りしていきます。

定義

観察・共感のフェーズで得られた情報をベースに、満たすべきユーザーの本質的なニーズや、解決すべき課題を暫定的に定義していきます。

概念化

暫定的に定義されたユーザーのニーズ・課題に対して、解決策となるアイデアを出していき、ビジネスやプロジェクトのコンセプトを固めていきます。

試作

暫定的な方向性を決めたところで、アイデアを試作(プロトタイプ)として形にするフェーズ。

テスト

試作を実際にユーザーに利用してもらい、フィードバックを収集。フィードバックをもとに、改善点を織り込みながら、アイデアを最終的に形にしていきます。

デザイン思考の限界

誰でもすぐにデザイン思考ができるわけではない

デザイン思考を取り入れた典型例として、ワークショップの開催があります。ワークショップの開催は、クリエイティブに問題解決するための仕掛けといえますが、参加者自身がクリエイティブに問題解決をしようとする意識がなかったり、無意識のうちに固定概念に支配されたりしてしまうような場合は、デザイン思考が失敗するケースも多くあります。誰でも、フレームワークを取り入れればすぐにデザイン思考ができるわけではなく、ある程度、経験をつむことが必要であるといえます。

アイデアを収斂させることが難しい

デザイン思考では、0ベースでの思考により、様々なアイデアを生み出すことができますが、拡散したアイデアを1つにまとめていく(収斂させていく)過程が非常に難しいです。なぜなら、どれが良いアイデアなのか、明確な基準がない場合が多いからです。

アイデア収斂の過程では、アイデア同士をグループ化したり、論理的思考やメンバー同士の効果的な議論も取り入れたりしながら、プロトタイプ化するアイデアを選んでいくのが良いでしょう。

フレームワークによって本来の目的を見失いやすい

デザイン思考には、多くのフレームワーク・方法論があります。フレームワークとは、経験や思考を重ねた個人や企業が築き上げ、実際に結果を生み出した思考体系を、誰でも取り入れられる形にしたものですが、フレームワークを埋めて満足し、結果に繋がらないケースが多いです。フレームワークの本来の目的は何か、本質は何かを理解した上で、目的を意識しながらフレームワークを活用することが重要です。

まとめ

今回の記事ではデザイン思考とは何かという概念の説明から、デザイン思考が現代において求められる理由、そして具体的なプロセス、デザイン思考の限界まで解説してきました。

デザイン思考は経験によって磨かれていきますので、ぜひ日常生活の悩みを解決するなど身近なところから取り入れてみてください。