オフィス増床の流れと進め方

経営お役立ち情報

事業拡大に伴い社員が増えると、オフィスが手狭になり増床が必要になってきます。オフィス増床には複数の種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。どの方法が最適なのか判断が難しく、オフィス増床と移転のどちらがいいのかという点でも迷ってしまいます。

本記事では、オフィス増床の流れと進め方について解説します。そして、オフィス増床を成功させるためケース別に分けた選び方も紹介しますので、ご参考になれば幸いです。

オフィスの増床とは?

オフィスの「増床」とは、オフィスのフロア面積やサイズを広げる追加拡張のことを指します。オフィス増床を検討する際は、メリットとデメリットを認識した上で適切な増床の種類を選択する必要があります。

オフィス増床の種類とメリット・デメリット

内部増床

■内部増床のメリット
・同じビル内なので交渉がスムーズ
・勤務地が同じ
・増床にかかる時間やリソースを節約できる

■内部増床のデメリット
・同じビル内に目的に合致した物件が必要
・増床したオフィスが別フロアになると社員間のコミュニケーションに円滑でなくなる
・電話やインターネット回線の手続き、セキュリティ対策の負担が増える

内部増床とは、現オフィスの入るビル内で新たに物件を借りて増床する方法です。すでに関係性を構築したビル管理会社やオーナー、仲介業者との増床交渉となるため、負担や手間は軽くなります。しかし、内部増床は同じビル内に目的に合致した空き物件のあることが条件です。

内部増床には同じビル内で現オフィスより広いサイズの物件に移る方法と、現オフィスを維持したまま追加物件を借りる方法の2通りがあります。追加で物件を借りる場合、フロアが分かれてしまうと、社員間のコミュニケーションから円滑さが失われる可能性が考えられます。

勤務地が変わらず増床手続きがスムーズなのは内部増床のメリットですが、電話・インターネット回線の手続きに加え、セキュリティ対策などのコストが増える点はデメリットです。

分室増床

■分室増床のメリット
・内部増床よりも目的に合致した物件が見つけやすい
・新たな環境により社員のモチベーションを刺激できる
・現オフィスを維持したまま増床できる

■分室増床のデメリット
・増床分のオフィスにかかるコスト
・現オフィスと増床したオフィスに距離があるため社員間のコミュニケーションが円滑でなくなる
・入居審査など手続きの負担が増える

分室増床とは、現オフィスの外に追加で物件を借りて増床する方法です。別物件となるため内部増床より選択肢が格段に増え、より目的や理想に近い物件を見つけられる可能性を高められます。

分室増床は会社にとって新しい環境となるため、社員に新鮮な刺激を与え、モチベーションの向上にも繋がるでしょう。一方で、分室増床は内部増床に比べ入居審査をはじめとする各種手続きなどの手間が増えてしまう点がデメリットです。さらに、内部増床と異なり増床したオフィスと現オフィスの距離も広がるため、社員間のコミュニケーションもより取りづらくなるでしょう。

オフィスビルの建て替えによる増床

■オフィスビルの建て替えによる増床のメリット
・レイアウトなどを自由に決められ理想的な増床が行える
・勤務地が変わらない

■オフィスビルの建て替えによる増床のデメリット
・建て替えには膨大なコストがかかる
・建て替え中の仮オフィスが必要

自社ビルを所有している場合は、オフィスビルの建て替えによる増床が選択できます。建て替えによる最も大きなデメリットは膨大なコストですが、レイアウトなどを自由に決められ理想的な増床を行える点はメリットになります。

オフィス移転による増床

■オフィス移転による増床のメリット
・物件の選択肢が多い
・環境変化による刺激が得られる
・業務効率化を図る機会になる

■オフィス移転による増床のデメリット
・オフィス移転は長期間を要する
・移転作業は多岐に渡るため負担が大きい
・勤務地が変わる

現オフィスよりも広い物件に移転して、増床する方法もあります。移転による増床はオフィスの使い方や社員の働き方、さらに立地などを変えられる機会にもなります。

移転による増床は、空き物件から自由に選べるため理想を形にできやすいです。しかし、移転には長期間を要し作業も多岐に渡るため負担も大きい点はデメリットです。

計画立案

続いては、オフィス増床の計画立案の進め方について解説します。

オフィス増床の目的を明確化する

オフィス増床が決定したら、まず増床の目的を明確化します。目的が曖昧だと、適切な物件を選択できないためです。

オフィスの増床は、レイアウト・働き方・オフィスの使い方を見直す機会にもなり、結果として業務効率化に繋げられます。そのため、増床のメリットを最大限に得るためには、明確化された目的に沿って計画立案するのが不可欠となります。

事業の将来像に合わせたオフィス増床がおすすめ

オフィス増床は短期的ではなく、長期的な観点に立って計画立案する必要があります。仮に将来、当初の予定よりも社員が増えた場合、増床分のオフィスでも不十分になる可能性があるためです。

逆に、リモートワークなどの増加によりオフィスを利用する社員が減少した場合には、利用する社員に対して増床したオフィスが大きすぎる問題も出てきます。そのため、オフィス増床の計画立案は、事業の将来像に合わせて行うのがおすすめです。

プロジェクトチームを組む

オフィス増床の作業はメイン業務と並行して行われるため、プロジェクトチームを組んで進めます。このプロジェクトチームが物件の選定や交渉などの手続きを行うことにより、メイン業務に支障をきたすことのないスムーズなオフィス増床が可能です。

しかし、全ての企業がオフィス増床のプロジェクトチームを組めるほどリソースに余裕があるわけではありません。この場合は、オフィス増床やレイアウトをパッケージで外注できる業者に依頼するのがおすすめです。

ビル管理会社やオーナーとの交渉

内部増床では、ビル管理会社やオーナー、不動産仲介業者とオフィス増床の交渉を行います。日頃からビル管理会社やオーナー、不動産仲介業者とは良好な関係を築き、決して敵対的にはならないようにしてください。

ビル管理会社やオーナー、不動産仲介業者にとって、最も避けたいのはビルテナントに空き物件が出ることであり、それは彼らの不利益となります。

オフィス増床では、直前に物件を探すのではなく、事前にビル管理会社やオーナー、不動産仲介業者に増床を検討している旨を伝えておくのが重要なポイントです。オフィス増床を検討していると分かれば、テナント募集の前に他社に先んじて契約交渉できるように配慮してもらえる可能性を高められます。

リフォーム業者の選定

オフィス増床の物件が契約できたら、リフォーム業者を選定します。プロジェクトチームが計画立案したレイアウトに沿って内装工事すれば、オフィス増床の完了です。

信頼できるリフォーム業者を選ぶには、複数の業者から見積もりを取るのがおすすめです。さらに、経験が豊富で実績をサンプルなどで提示できる業者であれば、求めるイメージを形にできるか判断しやすくなります。

[ケース別]オフィス増床と移転の比較

内部増床や分室増床は、オフィス移転との比較からどちらを選択すべきか判断が難しい面があります。そこで最後は、ケース別に内部増床・分室増床・移転の3つについて、ケース別にどれを選択すべきか紹介します。

[ケース1]事業拡大に伴う社員の増加

オフィス増床を検討する際、最も大きな理由の一つは社員の増加です。人員が増えたことにより現オフィスが手狭となるため、オフィス増床の必要性が生じます。

現オフィスを維持したまま増床したい場合、同じビル内に空き物件さえあれば内部増床がおすすめです。増床にかかるコストや手間も大きく節約できるため、スムーズにオフィスを拡張できます。

事業拡大に伴い、オフィスのレイアウトや利用方法も大きく刷新したい場合は移転がおすすめです。ただ、オフィス移転は作業の負担も大きく、勤務地も変わってしまいます。

ここで、内部増床と移転のバランスを取れるのが分室増床です。同じ勤務地で現オフィスを維持したまま、新しい環境のオフィスを増床できます。コミュニケーション面では内部増床に劣るものの、オフィス移転のメリットも取り入れられる選択です。

[ケース2]社員間のコミュニケーションを活性化させたい

社員間のコミュニケーションを活性化させたい場合、オフィスのレイアウトを変更して交流を促せます。移転ならレイアウトを大きく変えられますが、現オフィスを維持したまま社員間のコミュニケーションを活性化させたい場合は、内部増床や分室増床がおすすめです。

また、コワーキングスペース・シェアオフィスを活用したオフィス増床なら、内部増床や分室増床よりも大幅にコストを節約できます。コワーキングスペース・シェアオフィスは、フリーアドレス型の働き方にフィットしたオープンスペースのオフィスです。コミュニケーションや交流を促す設計となっており、設備や家具も整っているため、レンタル費用だけがコストとなります。他社と共有するオープンスペースなので、社員にとっては刺激を受ける機会にもなるでしょう。

コワーキングスペース・シェアオフィスの問題点はセキュリティ対策

コワーキングスペース・シェアオフィスは構造上、他社との共有になり、常に人が出入りする環境になります。固定席はなく空いている座席を自由に選べるため、高いレベルのセキュリティ対策を求める場合にはデメリットとなるでしょう。

[ケース3]短期間に低コストでオフィスを増床したい

短期間に低コストでオフィス増床したい場合は、内部増床がおすすめです。内部増床には同ビル内の空き物件が必要となりますが、これは交渉により解決できます。

増床の時期を限定できない点にはデメリットがあるものの、ビル管理会社やオーナー、不動産仲介業者との交渉により、優先的に空き物件に入居できる準備を整えておけばスムーズにオフィス増床できます。この方法であれば、短期間かつコストも最小限に抑えることが可能です。

オフィス移転は作業や手続きが多岐に渡る

オフィス移転は、一度に全体的なレイアウトの変更ができるオフィス増床です。しかし、オフィス移転の作業や手続きは多岐に渡るため、負担とともにコストも大きくなります。

さらに、オフィス移転にかかる期間は一般的に約6カ月を要し、大規模になれば1年間かかるケースもあります。短期間に低コストでオフィス増床を行うという点では、オフィス移転はおすすめできません。

現オフィスレイアウトの見直し

短期間に低コストという点に重きを置く場合、オフィス増床ではなく、現オフィスのレイアウトの見直しもおすすめです。社員が大幅に増加したケースは除きますが、オフィスの使い方を見直すことで現オフィスにスペースを作り出せることもあります。

この場合は、内装工事などを行いオフィスのレイアウトを変更します。オフィス増床なしにコストを抑えながら、業務効率化も図ることができる方法です。

まとめ

オフィス増床の流れと進め方について解説しました。

キャシュモでは、オフィス増床に伴う相談や手続はもちろんのこと、財務・税務・労務・経理の専門家がワンストップで様々な経営課題へのアドバイスやアウトソーシングを提供します。オフィス増床を始め、御社の経営におけるお悩みは、是非キャシュモへご相談下さい。

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