会社の決算日はいつが良いか?「なんとなく3月末」だと後悔することも

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会社を立ち上げる際には、決算日をいつにするのか決める必要がありますが、いざ自分の会社の決算日を決めるとなると悩んでしまいます。

この記事では、会社の決算日はいつにすべきか、何を基準に決めればいいのか、なぜ3月や12月決算の会社が多いのかなど、詳しくご紹介していきます。

決算期といえばなんとなく3月末と思っていた方も多いかと思いますが、必ず3月にする必要はありません。これから新たに起業する際の参考になると思いますので、ぜひ最後までお読みください。

決算期とは

会社では、事業年度を定めて、その間の売上、経費、利益がいくらあったのか、資産や負債がどのぐらいあるのかを計算します。この作業を決算といい、事業年度の最後の月を決算期、あるいは決算月といいます。

決算の集計結果をまとめたものが決算書で、それに基づいて確定申告を行い、納税金額を算定します。法人税や消費税などの確定申告は、事業年度終了の翌日から2ヶ月内に提出しなければなりません。

事業年度は、個人事業主であれば1月から12月と決まっていますが、法人においては自由に定めることができます。法人が定めた事業年度は、税務署に提出する法人設立届書に記載することになっており、定款にも記載するのが通常となっています。

決算期はいつが多いのか

会社の決算期はなんとなく3月末というイメージですが、実際には何月が多いのでしょうか。令和元年度の国税庁統計年報の統計によると、全法人のうち、3月決算は18.3%で1位、2位は9月10.9%、3位は12月で10.4%です。確かに3月が多いですが、大多数というほどではないですが、資本金1億円以上の大企業の決算期をみると、3月が圧倒的に多く52.2%。2位は12月で17.5%、3位は9月で6.4%でした。

大企業にこれほど3月決算の会社が多いことから3月末が決算期というイメージができているのかもしれません。

決算期が3月と12月に多い理由

大企業で3月決算が多い理由は、官公庁の年度が4月~3月となっていることが大きく影響していると思われます。また、学校も3月卒業で4月から新入社員が入社の時期となることから、伝統的に3月末を決算期としていることが多いようです。

12月を決算期にしている会社が多い理由は、欧米諸国では12月決算が一般的であることから、海外に事業展開している会社が取り入れているものと思われます。

企業が決算セールを行う理由

「決算」という言葉を聞いて「決算セール」を思い浮かべる人も多いかと思います。なぜ企業は決算の際にセールを行うのか、不思議に思ったことはありませんか。

その理由は、「決算セール」という言葉で人々の注意を引いて売上を増やすということの他に、手元の現金を増やしておきたいということ、そしてもう一つは会計上の売上原価を上げるためです。手元の現金を増やしておきたいのは、決算の2か月後が法人税等の支払期限となっていることから、在庫を現金に換えて納税に備えておく必要があるからです。

では、売上原価を上げるために決算セールを行うというのは、どういうことでしょうか。在庫となっている商品は、貸借対照表の資産に計上され、売れるまでは売上原価として費用に計上することができません。売上原価は、下記の式で計算されます。

売上原価=期首在庫+当期仕入高―期末在庫

そのため、期末在庫が多いと売上原価が下がってしまい、利益が増えることになります。そうなると、税金もその分多くかかってくることになります。つまり、決算期に不要な在庫を減らすことで節税につながるので、決算セールを行っているということです。

決算期の決め方

これから新たに会社法人を立ち上げる場合に、決算期をいつにするのかを決めなければなりません。中小企業では、決算期は3月以外の月にしている会社も多いのですが、どのように考えて決めればいいのか悩むところです。

ここでは、決算期の決め方のヒントとなるポイントを、いくつかご紹介していきます。

自社の繁忙期を避ける

決算期には通常月よりも経理担当者の仕事量が増えることになります。自社の繁忙期に決算が重なると、経理の負担が非常に重くなることから避けたほうがいいでしょう。

また決算期には、業種によっては棚卸が必要になります。物の動きが多い繁忙期に行うと作業が大変でミスにつながりやすいことからも、決算期と繁忙期はずらしておくことをおすすめします。

税理士の繁忙期を避ける

3月15日が個人や個人事業主の確定申告の締め切りとなっていることから、12月から3月にかけて、税理士事務所は非常に忙しくなります。

会社法人を新たに設立して初めて決算期を迎える際には、税理士といろいろと確認しながら進めていきたいものです。税理士事務所が忙しい時期だと、ゆっくりと話す時間が取りにくいので、この時期ははずしたほうがいいかもしれません。

資金繰りから考える

決算日から2か月後が法人税等の納税期限となります。納税のタイミングは十分な現金が用意できる時期にしておいたほうが安心です。売上の入金が多い月や少ない月、仕入れや経費の支払いが多い月、ボーナスの支払いがある月なども頭に入れて検討するといいでしょう。

納税期限を1日でも過ぎると、延滞税・加算税を支払わなければなりません。納税時期に手元に現金があるかは、十分注意をしておく必要があります。

消費税の免税期間から考える

新設の会社法人は、資本金が1,000万円未満で、かつ、大法人の子会社などとなっていなければ、第1期及び第2期目は消費税が免除されます消費税の免税期間をできるだけ長く受けるためには、開業日から決算期までをできる限り離すことです。もし決算期を3月にして1月から開業すれば免税期間は1年3ヶ月ですが、決算期を12月にすれば2年間の免税を受けられることになります。

新たに設立する会社法人の資本金が1000万円未満であれば、こうした免税期間によって決算期を決めるのもひとつの考えとなります。消費税の規定には例外もいくつかありますので、実際に免税が受けられるかどうか、あらかじめ税理士に相談しておいたほうがいいでしょう。

決算期を変更するには

会社法人の決算期は、必要な手続きをすれば変更が可能です。

決算期変更のメリットとして考えられるのは、ある期に大きな売り上げが2回あった場合に、決算期を変更することで納税のタイミングをずらし、資金繰りを楽にすることができるといったことがあります。ただし、年度ごとの数字を比較する際には、決算期を変更したことを毎回注意しなければならない、というデメリットも考えておかなければなりません。また費用や手間もかかりますので、その点も頭に入れておく必要があります。

決算期の変更手続きは以下の通りです。

定款の変更

決算期の変更には定款の変更が必要となりますが、定款の変更には株主総会の特別決議が必要になります。特別決議では、議決権の過半数にあたる株主が出席する株主総会において、議決権の2/3以上の賛成があれば承認となります。

税務署への届け出

定款の変更ができたら、所轄の税務署に「異動事項に関する届出」、更新後の定款、株主総会の議事録を提出します。

まとめ

決算は1年間の事業活動の成果を確認する大切な節目です。また、納税に直接関係してきますので、決算期を決める際には繁忙期を避け、資金繰りなど様々な要素を考慮に入れたうえで慎重に決めるようにしましょう。

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