個人の印鑑証明書の取得に印鑑登録カードが必要なのと同様に、法人の印鑑証明書を取得する際にも印鑑カードが要求されます。これから法人設立をしようという方の中には、法人の印鑑カードには馴染みがないという方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、法人の印鑑カードはどういうものか、どのように取得するのかについて、詳しくご説明していきます。印鑑証明取得方法も併せてご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
印鑑カードとは
これまで仕事の中で法人の印鑑証明書を取得したことがなければ、法人の印鑑カードはあまり馴染みがないものでしょう。ここでは印鑑カードは何に使うのか、なぜ必要なのかといったことについて、ご説明していきます。
何に使うのか
会社を設立すると、代表印を登録することになります。そして、登録した代表印の印影を証明するのが印鑑証明書です。個人の印鑑証明書を取得するのに印鑑登録書(カード)がいるのと同様に、法人の場合は印鑑カードが必要になります。印鑑証明書の取得申請をする際には、申請書と一緒に印鑑カードの提出が求められます。
なぜ必要なのか
印鑑証明書を交付してもらうのに、なぜ印鑑カードが必要になるのでしょうか。
印鑑証明書は、押印された印鑑が確かに登録された代表印であることを証明する、とても重要な書類になります。印鑑カードは、登録された代表印の正当な所持者であることを証明するものです。そのため、法人の印鑑証明書を発行してもらう際に提出が求められるのです。
印鑑カード取得方法
ここでは、印鑑カードの取得方法について説明していきます。
会社設立の際には代表印の登録をしますが、そのときに自動的に印鑑カードが作られるわけではないので注意しましょう。
代表者が申請する場合
印鑑カードを取得申請するには、自社の法人登記を管轄している法務局の窓口に行きます。申請の際には代表印の押印をしなければならないので、登録している代表印を必ず持っていきましょう。印鑑カードの交付申請書には、会社の「商号・名称」「本店・主たる事務所の住所」「法人番号」といった基本情報を記載するとともに「押印欄」に登録印を押印します。汚れたりかすれたりしていない、鮮明な印影になるよう押印しましょう。
印鑑カードの交付に費用は掛かりません。申請すると10分程度の待ち時間で自社の印鑑カードを交付してもらえます。
代理人が申請する場合
印鑑カードの申請を代表者本人ができない場合には、代理人に依頼することができます。その場合には委任状を作成し申請書と一緒に提出するか、申請書の委任状の欄に記入しておく必要があります。
郵送申請する場合
法務局の窓口に出向くのが難しい場合には郵送で印鑑カード取得の申請をすることができます。
法務局のホームページからPDFとエクセル形式でダウンロードできるようになっています。記入例も掲載されているので、それを見ながら申請書に記入すれば問題ないでしょう。記入した申請書と、返信用の封筒に切手を貼って同封して管轄の法務局に送付します。
印鑑カード交付申請と印鑑証明書の請求は同時にできるか
印鑑カードと印鑑証明書を同時に申請することはできません。印鑑証明書を発行してもらうには印鑑カードを先に発行してもらわなければならないからです。郵送で印鑑カード登録する場合に、印鑑証明書の申請を同封しても発行してもらえないので注意が必要です。
登記が完了した時点で印鑑カードの発行ができるので、法人登記の書類を用意するときに印鑑カードの申請書も記入しておくと、登記完了後すぐに印鑑カードも取得できます。
印鑑カードを紛失した場合
印鑑カードは頻繁に使うものではないので、どこにいったか分からなってしまうことがあるかもしれません。また、誤ってカードを汚したり割ってしまって使えなくなったりする場合もあるでしょう。こうした場合には再発行してもらうことが可能です。
印鑑カードの再発行には、下記のものが必要になります。
・印鑑カードの廃止届
・印鑑カードの交付申請書
・会社の実印
・申請者の身分証明書
印鑑カードの廃止届と交付申請書は、法務局で入手できるほか、法務局のホームページからダウンロードすることができます。手続きに費用は掛かりません。再発行の手続きも代理人に依頼することができます。その場合は、「印鑑カード廃止届書」と「印鑑カード交付申請書」の委任状の欄に必要事項を記入し法人の登録印を押印して提出します。
印鑑証明書の取得方法
法人として、融資や不動産購入といった重要な契約には、登録印(実印)での押印と印鑑証明書が必要となります。
印鑑カードは、印鑑証明書の取得の際に必要になりますが、印鑑証明書の取得が実際にどういった手続きになるのか、具体的にみていくことにしましょう。
法務局の窓口
法務局に用意されている「印鑑証明書交付申請書」、あるいは法務局のホームページから同じ書類をダウンロードして記入し、印鑑カードと併せて窓口に申請します。申請書には記載の様式に従って、商号、本店(主たる事務所)の住所、印鑑提出者の資格(代表取締役など)と氏名、電話番号、会社法人等番号などを記入します。印鑑証明書の取得には手数料として450円がかかりますので、金額分の収入印紙を購入し申請書に貼付して納付します。その際には割り印は不要です。
印鑑証明書の取得は本人以外でも可能です。その場合は、申請書の委任状の欄に委任する旨を記入し、届出印を押印します。申請書には提出者の生年月日を記入しなければならないので、確認しておきましょう。この委任状付きの申請書と印鑑カードを提出すれば、代理人でも問題なく印鑑証明書を取得できます。
郵送
郵送でも印鑑証明書の取得ができます。
印鑑証明書交付申請書を法務局のホームページからダウンロードして各項目に記入し、手数料450円分の収入印紙を貼ります。返信用の封筒に切手を貼って同封し、法務局あてに送付します。
インターネット
法人の印鑑証明書はインターネット経由で請求することも可能になっています。
ただし、事前に専用のソフトウェアである「申請用総合ソフト」のダウンロードをしておくことと、電子署名に係る電子証明書を取得して送信する必要があります。インターネット経由で印鑑証明書の交付を請求した場合は、手数料が割引になります。郵送で送付してもらう場合は410円、窓口に受け取りに行く場合は390円となっています。手数料の支払いは、電子納付に対応しているATMやインターネットバンキング、モバイルバンキングによって行います。
申請書の作成が不要な印鑑証明書の取得方法
「証明書発行請求機」が設置してある法務局であれば、申請書を記入せずに印鑑証明書を取得することができます。印鑑カードを証明書発行請求機に挿入し、印鑑提出者の生年月日等を入力すれば、すぐに印鑑証明書を受取ることができるので、時間もかからず便利です。
個人の印鑑証明書はコンビニ等にある端末から取得できますが、法人の場合は法務局にある「証明書発行請求機」のみで対応しています。
まとめ
ここまで法人の印鑑カードについて説明してきました。印鑑カードは、印鑑証明書という大切な書類の発行に必要であることがご理解いただけたかと思います。
印鑑カードは印鑑証明書の取得に必要になりますが、そう頻繁に使用するものではないので紛失しやすいです。取得後はきちんと管理して保管しておきましょう。ただし印鑑カードと登録印を同じところに保管しておくと、簡単に持っていかれて書類の偽造等に使われる可能性があります。できれば別々の場所に保管しておくことをおすすめします。
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