社会保険の加入義務や手続き方法

労務お役立ち情報

法人企業とは切り離して考えることができない社会保険について、そもそもどのような手続きを経て加入するのか、また、メリット・デメリットについても理解をしておくことが肝要です。今回は、日本の社会保険に関する手続き等にフォーカスをあて解説していきます。

社会保険とは

社会保険とは【広義の社会保険】と【狭義の社会保険】に分けられます。【広義の社会保険】は労働保険(労災保険・雇用保険)を併せた制度で、【狭義の社会保険】は(健康保険・厚生年金・介護保険)を併せた制度となります。そこで、今回は狭義の社会保険をメインテーマとして扱ってまいります。

健康保険

健康保険とは、病気や負傷により病院を受診する場合に、負担割合を原則3割とする保険診療を受けられる被保険者証を発行してもらうために加入するというイメージが強いでしょう。しかし、健康保険はそれだけでなく、連続4日以上働けなくなり、医師の診断により労務不能と診断された場合は傷病手当金(概ね給与の2/3)が非課税で受給できます。その他に子供が産まれた場合の出産手当金(女性労働者が産前産後休業により無給となった場合などに非課税で給与の概ね2/3)などを受給できます。

健康保険料は給与から天引きされます。健康保険料率は会社所在地の都道府県ごとに異なることから、同額の給与であっても会社の所在地によって保険料が異なることがあります。この点は、誤解されている方も多いのではないでしょうか。

厚生年金

日本の年金制度は2階建て制度と呼ばれ、1階部分が学生や自営業者などが加入する国民年金となり、2階部分に厚生年金が設けられています。厚生年金は国民年金の第2号被保険者とも呼ばれ、厚生年金に加入しながら国民年金にも加入しているという状態です。厚生年金は会社員だけでなく、会社役員や代表取締役も含めて加入対象となります。また、健康保険のような選択制ではないので、要件を満たした場合は強制加入となります。

現行の法律では男性であれば昭和36年4月2日以後生まれの場合、原則として65歳から老後の年金が受給開始となります。定年退職後などはそれまで定期的に得ていた労働収入がなくなることから、年金は貴重な収入源となるでしょう。現役引退後、高い給与水準で長く加入することで、高い年金を受け取ることができる仕組みとなっています。

保険料は健康保険と同様に給与から天引きされます。なお、民間企業の厚生年金保険料率は法律上上限に達しており、法律の改正を行わなければ保険料率の改正はありあせん。

介護保険

介護保険は介護が必要な方に対して必要な給付やサービスをするための財源として、社会保険の中では最も新しくできた制度です。40歳以上64歳以下の医療保険加入者であれば、加入対象となります。すなわち40歳以上64歳以下の会社員であれば強制的に加入となります。なお、40歳以上64歳以下を介護保険第2号被保険者と呼び、65歳からは介護保険第1号被保険者と呼ばれています。

他の社会保険(健康保険・厚生年金)と同様に保険料は給与から天引きされますが、65歳以上となると、原則として年金から引かれるように切り替わります。

社会保険加入のメリット・デメリット

会社員だけに留まらず一国民としても社会保険が備える保障の大きさはメリットとして映るでしょう。他の論点として法人企業ではなく、個人事業所の場合、合法的に社会保険に加入しなくとも問題がない場合もありますが、社員の福利厚生や求人効果を勘案しても「社会保険有」という状態はメリットと言えるでしょう。

しかし、社会保険加入時、加入後にも定期的な手続きが発生します。当然、加入時の状況が未来永劫続くことは稀であり、定期的な手続きは必ず年に1回発生します。定期的な手続きの代表例は後述する「算定基礎届」であり、社会保険へ加入する全従業員が対象となります。

社会保険での必要不可欠な手続き

社会保険新規適用

社会保険へ新規で加入する場合、新規適用届を会社の所轄年金事務所へ届け出る必要があります。内容としては会社所在地の情報や賞与支払い予定月や昇給の予定、会社に籍はあるものの、社会保険に加入しない者の人数と理由なども明記する必要があります。また、添付書類として会社の登記簿謄本が必要です。

資格取得届

新規適用を行っただけでは社会保険には加入できません。資格取得届の提出が必要であり、その為には社員情報(マイナンバー等の収集も必要)を事前に収集しておく必要があります。届出が遅くなってしまうと被保険者証の発行も遅れ、継続して医療機関に通院している従業員を例に取ると被保険者証が発行されていない状態では窓口で医療費の全額負担が発生し、会社に立て替えを申し出てくるなど、会社がその対応に時間を割かれてしまうこともあります。よって、新規適用と併せて同様の事例を多数扱っている専門家へ依頼するケースが多く見受けられます。

被扶養者異動届

社員に扶養親族(例えば専業主婦(夫)や子供)がいる場合、資格取得届と併せて被扶養者異動届を届け出ることとなります。事前に収入要件(130万円未満)の確認を済ませておくことなどが必要です。また、子供が就職した場合などは扶養親族から外す手続きも必要となります。

算定基礎届

毎年1回、7月1日時点でその年の4月~6月までの間の給与を年金事務所に報告し、実態に合致した社会保険の等級となる精査を行う業務があります。社会保険に加入している社員や、アルバイト、役員などが全て対象となり、年間を通して極めて大きな業務となります。実態に合致した等級はその年の9月分から反映されることとなり、実務上、10月支給の給与から変更後の等級を反映させます。尚、7月1日時点と言っても、6月1日以降に資格取得した方は対象外となるなど、イレギュラーと窺われるケースがある場合はミスに繋がる前に専門家に相談することが適切でしょう。

月額変更届

算定基礎届は年に1度の業務ですが、それを待たずに給与の著しい変動がある場合も珍しくありません。著しい変動とは固定的賃金が「2等級以上」変動した場合となっており、固定的賃金とは残業代などの毎月変動し得る部分ではなく、基本給などの固定的部分を指します。よって、残業代のみで2等級以上の変動は対象となりません。他の要件として3か月ともに報酬の支払基礎日数が17日(短時間労働者は11日)以上の場合に対象となります。そして、月額変更届の要件を満たした場合には速やかに提出することが求められます。

資格喪失届

社員が退職した場合や、社会保険の適用対象とならない働き方に変わった場合には資格喪失届が必要となります。この届出が遅れると、退職した社員の分も含まれた社会保険料の請求がくることから経営的にも問題となり得ます。

社会保険の対象者とは

現行の法律では、原則として500人以下の法人企業であれば概ね週30時間以上の労働契約を締結している場合、社会保険の対象となります。よって、雇用形態が変更(正社員からアルバイトへ転換)した場合などは労働時間の確認が重要となります。尚、平成28年10月から順次社会保険の適用拡大が進んでおり、以下の「5要件」を満たす場合、週30時間未満の労働契約であっても社会保険の加入対象となります。

・週20時間以上の労働
・賃金が月額88,000円以上
・勤務期間が1年以上
・学生でないこと
・会社の規模が501人以上

上記の「5要件」を満たすことで社会保険の適用対象となります。尚、会社の規模要件は順次拡大されていき、令和4年10月に101人以上、令和6年10月に51人以上となります。
また、勤務期間が1年以上の部分は令和4年10月から「継続して2か月を超えて働く見込みがある場合」に改正されます。

最後に

社会保険制度は現役世代の保険料の納付により高齢世代への給付が実現している点は否めません。特に年金制度はその代表格です。今後も少子高齢化への歯止めは難しいことから当分の間同様の傾向は続くことと考えます。また、社会保険制度は度重なる改正が(今後も)予定されており、手続き面での煩雑さを回避するためにも専門家の活用が有用です。

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