給与明細に関する法的根拠とは?保存期間・保存方法・再発行の必要性・効率化するには?

経理お役立ち情報

会社で従業員を雇用している場合、必ず給与明細を作成します。

大きな会社であれば、膨大な量の給与明細をいつまで保管しておくか悩んでいる方も多いかもしれません。

そこで今回は、給与明細に関する保存期間や保存方法、再発行の必要性などを詳しく解説します。

給与明細に関する法的根拠(保存期間)

結論から言えば、給与明細における会社側の保存期間については、法律で定められていません。また保存しておく義務もありません。

ただし、企業としては、給与明細を保管しておくことで「従業員に給与を支払った」という証明になるため、一定期間保存しておくのがよいでしょう。

また給与明細の記載項目は、「賃金台帳」と重なる所が多いです。

賃金台帳とは、従業員への給与の支払い状況を記載した書類を指します。

賃金台帳は労働基準法に従って最低5年間保存しておくことが定められています。

その為、給与明細につきましても賃金台帳と同じ扱いと考えて最低5年間は保存しておくことが推奨されております。

法定三帳簿と労働基準法に関して

賃金台帳は、法定三帳簿の1つです。

法定三帳簿とは労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の3つを指します。

法定三帳簿は、適切に整備していない場合は処罰の対象となります。

以下が労働基準法に関する内容です。

労働者名簿

労働基準法第107条に定められる。企業に対し、各事業場ごとに各労働者(日々雇い入れられる者を除く)の氏名や生年月日、履歴等について記入した「労働者名簿」を作成することを義務づけるもの。

賃金台帳

労働基準法第108条に定められる。企業に対し、各事業場ごとに「賃金台帳」を作成し、賃金計算の基礎となる事項や賃金の額などについて賃金の支払いのたびに遅滞なく記入することを義務づけるもの。

出勤簿

労働基準法第109条に定められる。企業に対し、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について保存することを義務づけるもの。

法定三帳簿は、これまで3年間の保存が義務付けられていました。

しかし2020年4月1日施行の改正労働基準法では、5年間の保存義務となりました。

ただ経過措置として当面の間は、これまでどおり3年間の保存で運用することが認められています。

給与明細と賃金台帳の記載項目

給与明細と賃金台帳は全く別の用途として利用します。

しかし記載内容は重なる箇所が多いため、一度記載項目を確認しておきましょう。

給与明細の主な記載項目は以下となります。

勤怠項目:出勤日数・欠勤日数・労働時間・残業時間や有給休暇取得日数・有休残日数などを明記します。

支給項目:基本給・時間外手当(残業手当)・通勤手当・住宅手当・家族手当など各種手当の金額を明記します。

控除項目:給与から徴収した所得税や住民税などの税金、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などの控除額を明記します。

一方で賃金台帳の主な記載項目は以下となります。

・労働者氏名
・性別
・賃金計算期間
・労働日数
・労働時間数
・時間外労働時間数
・深夜労働時間数
・休日労働時間数
・基本給や手当などの種類と額
・控除の項目と額

繰り返しになりますが、給与明細と賃金台帳の記載項目は全てが一致するわけではありません。

しかし内容として重なる所が多いことから同じ扱いと考えて賃金台帳と同じように保存しておくことがオススメです。

給与明細再発行依頼に対応する必要性

結論から言えば、企業側には再発行する義務はありません。

法律では、給与支払い日までに給与明細を交付するよう定められているだけで、一度給与明細を発行した後は、給与明細を保管する必要性はないとされています。

なので、従業員から給与明細を再発行の依頼があった時は、企業の判断に委ねられています。

給与明細の再発行に関して規定を設けている企業は少ないため、担当者がその時々で判断しているケースが多いようです。

ただ一般的には従業員から依頼を受ければ、再発行する企業が大半です。

もし給与明細を保管していなくても、労働基準法で保管が義務付けられている賃金台帳を参照すれば、通常の給与明細と形式は違っても、同じ内容のものを代わりに発行することはできます。

給与明細の保存方法

紙で保存する場合は、月単位で作成するので月単位で管理しておくのがオススメです。

ただし紙で保存する場合、従業員が増えるほど保管場所が増えるコスト的デメリットと、紛失や劣化など保管に対するリスクが発生します。

従業員数が多ければ多いほど、膨大な量の給与明細を保管するスペースの確保が求められます。

また最低5年間保存しようとした時に紙の経年劣化などを起こさないようにするため、様々な注意が必要です。

日が当たる場所に保管していたら変色したり脱色したりして文字が読めなくなったり消えてしまう可能性があります。また一方で、暗くて湿気も溜まりやすいような場所でも紙が傷んでしまう恐れがあります。

もし紙で保存する場合は、理想として風通しのよい日が当たらない場所に置き、湿気対策をきちんと行うようにしましょう。

給与明細の保管を効率化するには?→給与明細の電子化

ここまでお話したように給与明細は一般的には法的に保管する義務はないものの最低5年間保管しておくことが推奨されています。

しかし紙媒体で5年間保管する場合、給与担当者に対する労力やコスト面、保管リスクなど様々なデメリット考えられます。

その為、業務の効率化やコスト面を考えた上で給与明細の電子化を推進していくのが良いでしょう。

リモートワークなどの柔軟な働き方が増加する現代では、給与明細を紙媒体で取り扱うことに関しては課題も多く、非効率になりつつあります。

しかし、システム導入をして給与明細を電子化することで業務の効率化やコスト削減も実現出来ます。

2006年度に行われた税制改正で、2007年1月1日以後に交付する給与所得の源泉徴収票や給与等の支払明細書について、一定の要件の下で書面でなく「電磁的方法」により交付することができるようになりました。

法律で認められている電磁的方法は以下の3つです。多くの企業では電子メールまたはWeb上で交付する方法が採用されています。

・電子メールでデータを交付する方法
・インターネット接続をおこない、Web上で閲覧する方法
・FD、MO、CD-R等の磁気媒体に記録して交付する方法

給与明細は交付が義務付けられていますが、その方法は問われておらず、電子化は法的に問題ありません。

システム導入をした初期の段階では、導入コスト、システムに慣れるまで作業効率が落ちるなどの一時的なデメリットが考えられます。

しかし長期目線で考えた場合、コストをかけてもシステム導入することは大きなメリットが得られるはずです。

また2022年1月施行予定の電子帳簿保存法の法改正を見ても世の中の流れがどんどん電子化に進んでいることが分かります。

以下の記事で電子帳簿保存法に関する具体的な内容を紹介しているので気になる方はこちらもチェックしてみてください。

【2022年1月施行予定】電子帳簿保存法とは?改正ポイント5つとメリット・デメリットを解説
電子帳簿保存法とは? 「電子帳簿保存法」とは、国税関係帳簿書類の保存を紙文書ではなく、電子データでの対応を認めた法律です。 この法律は、1998年に制定され、正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関...

今回のまとめ

今回は、給与明細の保管に関して法的根拠をベースに解説しました。

法的には保管の義務はありませんが、一定期間は保管しておくのがオススメです。

またもし紙媒体で管理している場合は、早めに電子化することをお勧めします。
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今回は給与明細に絞ってお話しましたが、以下の記事で様々な書類の保存方法・保存期間について紹介しているので気になる方はこちらもチェックしてみてください。

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