消費税軽減税率制度~日々の取引や経理処理~

税務お役立ち情報

平成31年10月1日の消費税率の引き上げとともに導入される、軽減税率制度。前回までは、その対象となる品目について確認しました。飲食料品を取扱う事業者はもちろんのこと、会議費等として飲食料品を購入するほぼすべての事業者に影響があると考えられます。今回は、日々の取引や経理処理にはどのような影響があるのか確認します。

日々の業務で対応が必要になること

売上げ

① 軽減税率対象品目を確認し、顧客からの問い合わせに答えられる準備をする
② 対象品目の売上げがある場合、請求書等に軽減税率対象品目である旨や、税率の異なるごとの合計した税込金額を記載し、交付する。
※免税事業者であっても、課税事業者に軽減税率対象品目を販売する場合、相手方から区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。

仕入れ(経費)

① 軽減税率対象品目の仕入れ(経費)があるか確認する
② ある場合、請求書等に軽減税率対象品目である旨や、税率の異なるごとに合計した税込金額の記載があるか確認する
記載がなければ、仕入先に確認して追記することも可能
※軽減税率対象品目の売上げがなくても、会議費や交際費として飲食料品を購入する場合は対応が必要です!

帳簿・請求書等の記載方法

すべての消費税課税事業者は、仕入税額控除のため、税率を区分して経理する必要があり、その区分経理に必要な事項を記載した帳簿及び請求書等を保存する必要があります。これを「区分記載請求書等保存方式」と呼びます。
≪現行の請求書等と区分記載請求書等の比較≫

期間 帳簿への記載事項 請求書等への記載事項
平成31年9月30日まで

【現行制度】

課税仕入れの相手方の氏名又は名称・取引年月日・取引の内容・対価の額 請求書発行者の氏名又は名称・取引年月日・取引の内容・対価の額・請求書受領者

の氏名又は名称

平成31年10月1日から

平成35年9月30日まで

【区分記載請求書等保存方式】

上記に加え

軽減税率の対象品目である旨

上記に加え

①軽減税率の対象品目である旨

②税率ごとに合計した税込対価の額

○請求書イメージ

請求書
㈱○○御中
2019年11月1日
割り箸         550円
牛肉 ※       5,400円



合計        43,600円
(10%対象 22,000円)
(8%対象  21,600円)
※は軽減税率の対象品目
㈱△△

仕入れ先から交付された請求書等に、①や②の記載がない場合は、これらの項目に限って交付を受けた事業者自らが、その取引の事実に基づき追記することができます。また、区分記載請求書等保存方式の下でも、3万円未満の少額な取引や、自動販売機からの購入など請求書等の交付を受けることが困難な場合には現行どおり、必要な事項を記載した帳簿の保存のみで、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

さらに、平成35年10月1日以降は、区分請求書等保存方式にかえて、「適格請求書等保存方式」が仕入税額控除の要件となります。いわゆるインボイス制度のことです。税務署長に申請して登録を受けた適格請求書発行事業者のみが適格請求書等を発行することができます。適格請求書発行事業者以外からの仕入れについては仕入税額控除ができません。

軽減税率の導入にあわせて、レジシステムの導入や受発注システムの改修を検討されている方もいらっしゃるかと思いますが、適格請求書等の発行に対応したシステムであれば、区分記載請求書等の発行も可能です。次回は、導入や改修にかかる日ようの一部を補助する「軽減税率対策補助金」についてご説明します。

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