最低賃金改定 ~東京の最低賃金は27円増の985円~

労務お役立ち情報

今年度の最低賃金の改定額が発表されました。全国平均は前年度比26円増の874円。上げ幅は過去最大だった昨年度の25円増をさらに更新しており政府目標の「3%程度」が今年度も達成されました。新たな最低賃金は9月30日から10月13日の間に順次適用される予定です。

<今回のポイント>
引上げ額の全国加重平均は26円となり、最低賃金が時給で決まるようになった平成14年度以降で最高額となる引上げとなります。増額幅が大きいため、パートタイマーやアルバイトの時給や、固定残業代制度を導入している事業所では、知らぬ間に最低賃金を下回っていたということの無いように注意が必要です。

<東京都の場合>
958円から985円への引き上げ。

<適用時期>
地域ごとに順次適用されます。例えば、10月1日より適用される場合、は10月1日の「労働日」以降は、新しい最低賃金を下回ってはいけませんので注意が必要です。

最低賃金とは

最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が定めた賃金の最低額であり、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。

使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。なお、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、50万円以下の罰金(最低賃金法第4条)になります。

対象となる賃金

最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金であり、残業代やボーナスは含まれません。

固定残業代制度(みなし残業代、定額残業代等)を導入している場合は、「所定内労働に対する賃金部分」から「固定残業代部分」を控除した賃金が対象になります。固定残業代部分が増えれば増えるほど、最低賃金の対象となる賃金単価は下がりますので、基本給の中に固定残業代を含んでいる場合や最低賃金を下回っていることがないか、特に注意が必要です。

最低賃金の計算方法


固定残業代にも最低賃金が適用されます。東京の場合、平成30年10月以降、「残業代(1時間あたり)」は、最低でも下記の賃金を上回るようにしなければなりません。

985円(10月以降の想定額)×1.25(割増賃金率)=1232円
※小数点以下繰上

厚生労働省ホームページには、従業員個々の給与が最低賃金以上かどうかを確認する方法が、紹介・解説されていますのでご参考ください。
<参照> 厚生労働省HP『最低賃金額以上かどうかを確認する方法』

今後の対応

今回も昨年度に続き大幅なアップとなりますので、現在、最低賃金ぎりぎりに賃金を設定している従業員(正社員、パート、アルバイト等)がいる場合、知らぬ間に最低賃金割れとなってしまうことのないよう給与の総点検を行いましょう。また、近々、昇給やパートタイマーの契約更改をする検討されていましたら、今回の最低賃金の引き上げも念頭に入れて、昇給額等を検討するのが良いでしょう。