前回に引き続き、マーケティングについて取り上げます。前回はマーケティングを「お客様が求めるQPSの組み合わせにより差別化すること」と説明しました。今回は自社が目指すQPSを実現させるために考えていかなければならない「5つのP」について説明したいと思います。
◇5つのPとは何か
マーケティング研究の第一人者であるフィリップ・コトラーが提唱しているのがマーケティング・ミックスという考え方です。簡単にまとめると「どんなものを、いくらで、どこで、どのように宣伝して、販売するのか」という4つの要素(Product、Price、Place、Promotion)からマーケティングを捉え、それぞれをバランス良く組み合わせることで成果を出すことを推奨しています。
この記事では、4つのPに加えて、Partner(パートナー=協力者)という要素も加えて、「5つのP」として取り上げます。
◇Product(プロダクト=商品、サービス)
前回取り上げたQPSのQはクオリティ=商品・サービスの品質のことでした。品質の評価には、商品そのものの性能や大きさ、付随するパッケージなどすべてが影響します。商品の例で言えば、性能は文句無しであっても、重すぎたり、大きすぎたりすることによって、売れないという場合もあり得ます。
さらには、高齢化が進んでいるので、商品に記載されている文字や資料の文字の大きさや、読みやすさなども重要なポイントになってきています。
◇Price(プライス=価格)
価格については、一般的には同じ品質の商品・サービスであれば、安いほうが売れるという傾向があります。ただし、どのような商品・サービスにも「値ごろ感」というものが存在しています。安すぎる場合、「本当に大丈夫だろうか?」と疑われてしまう可能性があるので、この「値ごろ感」の上限と下限の間で値決めするのが重要です。
◇Place(プレイス=流通)
流通においては、これまでも小売店を展開する、卸売りを行う、通信販売などの選択肢がありました。加えて近年ではインターネットの普及に伴い、流通が大きく変わってきています。Amazonや楽天などのeコマースで商品を購入することは多くの消費者にとって、普通のことになってきました。
さらに供給過剰な時代となっていますので、お客様に近い立場にいる企業のほうが、業績を伸ばしているという傾向があります。
◇Promotion(プロモーション=広告、宣伝)
広告や宣伝は、お客様に自社の商品・サービスのQPSがいかに他社と違うのか、ということを理解していただくための手段です。そもそも知らないもの、わからないものを購入する人間は存在しませんから、必ず「認知」されなくてはなりません。
自社がターゲットにしている顧客がどのような媒体に目を通すのか、予算はいくらか、ライバル企業はどのような動きをしているのか、などを検討したうえで手段を選ぶことが重要です。
◇Partner(パートナー=協力者)
あえて加えたパートナーという要素ですが、専門性が高くなってきている経営環境において、どのようなパートナーがいるかが企業の命運を決めることが少なくありません。
例えばソフトバンクの通信事業が大きく成長できたのは、日本でiPhoneを独占販売できていたためです。ソフトバンクとアップルがパートナーとして販売していくことで、双方にメリットが生まれました。
場合によっては、税理士や社労士などの専門家を誰にするかも、企業の業績を伸ばすうえで重要な要因になり得ます。
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QPSにしても、5つのPにしても、組み合わせによって、成果が出るか否かが決まります。どれか一つの要素が素晴らしくても、他の要素が良くなければ結果はでません。お客様の視点に立ち、自社の商品・サービスを常に改善していく姿勢を保てるかが重要です。
<参考文献>
・小宮一慶(2017)『経営者の教科書』ダイヤモンド社