会社を経営していると「私もいいアイディアを思いついたから会社をつくりたい」という相談を受ける機会が出てくるのではないでしょうか。当然のことながら、アイディアだけでは会社を設立することはできず、設備投資や当面の運転資金などを確保する必要があります。ご自身の資産のみで会社を設立し、無借金経営のまま軌道に乗れば問題ないのですが、そのような会社は非常に稀です。今回は創業時に利用できる融資制度とその活用法をご紹介します。
◇まずは日本政策金融公庫へ
日本政策金融公庫は「一般の金融機関が行う金融を補完して、国民生活を向上させること」を目的に業務を行っている機関です。したがって、メガバンクや地銀、信用金庫から融資を受けるのが難しい場合、例えば新設(新設予定)の法人や、創業間もない法人にも融資をしてくれる可能性があります。そのため、創業時に資金調達を行う場合は、まず日本政策金融公庫に相談するのが基本です。
◇無担保・無保証人で利用できる「新創業融資制度」
日本ではこれまで、「中小企業に対する融資は代表者(社長)を連帯保証人にする」ということが慣例でした。しかし近年では、国からの要請で、代表者を保証人としない融資制度が広がり始めています。日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、新たに事業を始める人や、事業を開始して間もない人に対して、特定の融資制度を利用する際に、無担保・無保証人で融資する特例措置です。
<「新創業融資制度」の概要>
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金は1,500万円) |
資金の使い道 | 事業開始時または、事業開始後に必要な事業資金 |
利用するための要件 | ①創業の要件 新たに事業を始めるまたは、事業開始後2期以内 ②雇用創出等の要件 ・雇用の創出を伴う事業を始める場合 ・現在勤務している企業と同じ業種の事業を始める場合 ・産業競争力強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を始める場合 ・民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める場合 など ③自己資金要件 創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できること |
対象となる融資制度 | ・新規開業資金 ・女性、若者/シニア起業家資金 ・再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金) など多数 |
※詳しくは日本政策金融公庫のHP参照。
◇事業計画の作成
すでに実績のある会社ならともかく、これから創業する、あるいは創業間もない会社が融資を受ける場合に、必要になるのが「事業計画書」です。これまでの実績という『過去』がないので、事業計画書を作成することで『未来』を明確にして、融資を受けることになります。
日本政策金融公庫に提出する「創業計画書」は以下の内容になっていますので、参考にしていただければと思います。
内容 | 補足説明 |
創業の動機 | 新規事業の設立の目的や動機 |
経営者の略歴 | 学歴や職歴、経営者としての経験など |
取扱商品・サービス | 商品・サービスの概要と、そのセールスポイント |
取引先・取引関係 | 主要な得意先(売掛先)、仕入先(買掛先)、外注先 |
従業員 | 役員、正社員、パート・アルバイト、それぞれの人数 |
借入状況 | 現在の借入金残高と年間返済額、その用途 |
必要な資金と調達方法 | 設備投資と運転資金、それぞれいくら必要か、 その調達方法(自己資金、知人からの借入、金融機関など) |
事業の見通し | 簡易的な損益計算書(売上・原価・販管費・利益)と、 それぞれを算出した根拠 |
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どんなに素晴らしい商品や、革新的なサービスを企画しても、資金がなくては事業として成り立ちません。まずは事業計画を作成して、「本当に儲かるのか?」「資金は回るのか?」などを確認してから始められることをおすすめしています。
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