初夏を感じるいい季節となりました。そろそろ、夏の賞与について検討に入られる時期と思います。今月は、社員のやる気を引き出し業績アップにつながる業績連動賞与制度についての考え方をご紹介します。
業績連動賞与の基本的な考え方
これまでどのように賞与を策定し支給されてこられたでしょうか。月額給与と昨年度の支給実績を見ながら、各人への「よくやったと」、「もう少し頑張れ」などのセッセージを含めた社長の「総合的な」判断で決める方式の会社が多いのではないでしょうか。
この方式も社員数が少なく社長が全員の行動や功績が把握できている間は問題はないと思います。しかし、社員数が増え社長が全てを把握できなくなると、社長が賞与に込めたメッセージが伝わらなかったり、各人の賞与額の差が不満につながったりと賞与支給が必ずしもやる気を引き出す仕組みとして機能しなくなっているケースが多く見られます。
そのため、賞与支給をより有効に活用するため、ABSでは、業績連動賞与をお勧めしております。
そもそも、賞与とは、「生活給」と「業績分配給」の二面性があります。社員からすれば、賞与を含めた年収を基準とした生活を送っており生活を維持するのに必要な収入の一部と捉えられている面がありますし、会社にすれば生み出した利益に対する社員の貢献に対して報いるという面があります。賞与制度として、賞与の生活給的な側面と業績反映(分配)給的な側面の両方を組み入れた制度をお勧めしております。簡単な式にすると以下となります。
賞与=固定部分+変動部分
賞与の固定部分は、業績に関わらず支給する部分で賞与のもつ生活給的な意味に応えるもので、基本的には次の式で計算します。
各人の固定部分=各人の月額基本給 × 基準月数
変動部分は、業績に応じて変動させることで、会社と社員が共に業績アップに向けて頑張れるように支給するものです。そもそも、事業とは、会社が資本家からの資本、設備・仕組み(業務フロー)・ノウハウ等を用意し、社員は、労働力や経験を提供することで事業は成り立っていることから、成果を会社と社員に貢献に応じて配分するのがこの変動部分の基本的な考え方です。
各人の変動部=全社の賞与総額(賞与原資-全社の賞与固定部分総額)×個人別配分率
業績連動賞与の決め方
賞与算定で大事な点は、支給総額の統制がとれていること(会社にとって適正な支給総額に抑えること)と各人の賞与額が原則的なルールを踏み外さないように算定されていることです。そのため、次の3つのステップで賞与を決める方法が有効です。
第一ステップ:賞与原資の確定(全社査定)
賞与原資=算定期間の全社付加価値総額×基準労働分配率-(算定期間の総人件費-算定期間内に既に支給した賞与総額)
第二ステップ:部門に賞与原資の分配(部門査定)
部門毎に業績に応じて、賞与原資を分配
第三ステップ:各個人に賞与を分配(個人査定)
固定部分は全員に支給し、各部門の賞与原資から固定部分を除いた残りを各人の評価に応じて変動部分を支給
業績連動賞与の導入にあたって
以上からお分かりのように業績連動賞与の実施のためには、部門ごとや個人ごとの評価が求められます。評価をするためにはモノサシとしての目標が必須です。
業績連動賞与の導入に当たっては、新年度計画に合わせた上半期、下半期毎の目標を部門ごとや個人ごとに定めていただきたいと思います。目標達成度をベースに業績連動賞与を算定していただきたいと思います。
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業績連動賞与の導入にご興味のある方は、ABSにお問い合わせください。