2024年度から個人住民税の特別徴収税額通知が電子化されます

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従来は役所からの通知等は、紙で届くものがほとんどでしたが、電子化が進む昨今、役所からの書類もどんどん電子化されています。個人住民税の特別徴収税額通知書についても、2023年度分まではすべて紙で事業主に送付されていましたが、2024年度からは、いよいよ電子データでの受け取りが可能となります。

今回は、この個人住民税の特別徴収税額通知の電子化について、ご紹介します。

個人住民税の特別徴収とは

個人住民税の特別徴収とは、事業主(給与支払者)が、毎月従業員(納税義務者)に支払う給与から個人住民税を徴収し、従業員に代わって、従業員の住所地の区市町村に納付する制度です。所得税の源泉徴収義務のある事業主は、個人住民税についても給与から差し引いて納税することが法律等で義務付けられています。

ただし、他の事業所で特別徴収をしている、給与が少なく税額が引けない、給与の支払いが不定期、退職予定、特別徴収をする従業員数が2人以下等の場合には、特別徴収ではなく普通徴収(個人で納付する方法)を選択することができます。

現行の特別徴収の流れ

毎年1月31日までに、前年の1月から12月に支払った給与額等を記載した給与支払報告書を事業主が市区町村に提出し、その給与支払報告書に基づいてその年の個人住民税額が決定され、市区町村より特別徴収税額通知が事業主に郵送されます。
事業主は、6月から翌年5月まで、その通知に基づいた税額を給与から控除し、給与支払日の翌月10日までにそれぞれの市区町村に納付するという仕組みになっています。

なお、特別徴収税額通知には、事業主(特別徴収義務者)用と従業員(納税義務者)用の2種類があり、納税義務者用は事業主を通じて従業員に交付されることになります。

<特別徴収の流れ>

(出典:東京都「個人住民税特別徴収の事務手引き」)

2024年度からの特別徴収税額通知(納税義務者用)の電子化

2024年度からは、事業者が2024年1月31日までに2024年度分の給与支払報告書の提出時にeLTAX上で電子通知を希望すれば、特別徴収税額通知(納税義務者用)を電子データで受領できるようになります。
電子通知を希望しない事業主には、今までどおり紙の通知が郵送されます。
なお、電子データでの受取のためには、従業員に電子的に配布するための体制(メールや社内システムでの配布など)が必要となります。

紙の特別徴収税額通知は、4月から5月にかけて各市区町村から封書でバラバラと届き、さらには市区町村によって大きさも形状も異なるため、これらを開封して従業員に手渡しをするのは手間のかかる業務となっていました。
また、手間がかかるだけではなく、郵送物を受け取り、紙を整理する必要があり、出社が必要な業務のため、担当者のテレワークの妨げにもなっていたことでしょう。
2024年度以降は、電子通知を希望すれば、これらの封書が届かなくなり、eLTAX上でダウンロードした通知を、社内のメールやチャットなどでそのまま各従業員に配布することができるようになるため、業務の効率化が期待されます。

2024年度からの特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)の電子化

特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)については、すでに電子化されており、電子通知を希望する場合には、紙の通知に加えて、電子データも受け取ることができました。
2024年度以降は、通知が一本化され、紙と電子データの両方を受け取ることができなくなるため、給与支払報告書の提出時にeLTAX上で紙か電子データのいずれかを選択することとなります。

紙の通知の場合には、すべての市区町村の通知をまとめて、給与ソフトに住民税額を入力し、チェックを行うという膨大な作業が発生していました。
電子データを希望した場合でも、対応していない市区町村もあったことから、電子データに漏れがないか紙と電子データをチェックするという作業が必要でした。2024年度以降はすべての市区町村から電子データで通知を受け取ることができるようになるため、このチェック作業も不要になると考えられます。
給与ソフトによっては、eLTAXで受領する電子データをそのまま取り込んで住民税額に反映させることもできるため、すべての市区町村が電子化に対応することにより、大幅な業務の改善が期待されます。

(出典:総務省「説明資料(地方税務手続きのデジタル化)」)

まとめ

以上のとおり、特別徴収税額通知の電子化をうまく活用することにより、人事労務業務にかかる時間の大幅な削減が期待されます。
2024年度から電子通知を希望する場合には、2024年1月31日期限の給与支払報告書をeLTAXで提出し、電子通知を希望する必要があるため、これまで紙で提出していた場合には準備が必要です。
今や、企業における様々な業務でクラウド化、ペーパーレス化が進んでいます。この機会に、特別徴収だけにとどまらず、その他の人事労務業務においても、クラウドサービスを活用して業務の効率化を図ることをお勧めします。

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