【労務Q&A】試用期間満了後の本採用拒否が有効となる場合とは

労務Q&A

試用期間満了後の本採用拒否はどのような場合に有効となりますか?

採用当初知ることができなかったような事実(勤務態度の不良・勤務成績不良・業務遂行能力の不足・非協調性・経歴詐称など)が試用期間中に判明し、その者を引き続き雇用しておくのが適当でないと判断することに客観的合理性が認められるような場合に、本採用拒否は相当とされています。

解説

試用期間とは、本採用決定前の「試みの期間」であって、その間に労働者の人物、能力、勤務態度等を評価して社員としての適格性を判定し、本採用するか否かを決定するための期間とされています。試用期間とはいえ、「解約権留保付の労働契約がすでに成立していると解されている(三菱樹脂事件―最大判昭48・12・12)」こともあり、本採用拒否は解雇にあたります。

解約権の行使に関しては、解約権留保付の労働契約という性質から通常の解雇より広い範囲における解雇の自由が認められていますが、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効になります。能力不足や適性がないことを理由として本採用を拒否した例においては、能力不足や不適格の立証の程度や判断の妥当性が焦点とされることが多いようです。

また、「試用期間中の者に若干責められるべき事実があったとしても、会社には教育的見地から合理的範囲内でその矯正・教育に尽くすべき義務がある(高橋ビルディング事件 大阪地裁 45.10.9)」とされており、試用期間中の労働者は職務に関する知識が不足しているのが通常であり、会社の教育の不足が問題とされてしまう場合が多いので、会社側には繰り返し指導するなど是正させるための一定の努力が必要といえます。

試用期間の有無、試用期間中の勤務態度や業務遂行能力などが著しく不良で能力不足や不適格と判断した場合には本採用しない旨や、従事する職務と期待する業績等を就業規則や雇用契約書などにできるだけ具体的に記載することで、試用期間についてのトラブル発生の可能性を低くすることができます。