【労務Q&A】時間や半日単位での年休取得時の残業に割増賃金の支払いは必要?

労務Q&A

「半日年休」や「時間単位年休」を取得した日に残業をした場合、割増賃金の支払いは必要ですか?

1日の実労働時間を通算して法定労働時間を超えなければ25%割増賃金の支払いは不要です。
ただし、就業規則で終業時間後の労働時間に対して割増賃金を支払うといった規定があるような場合は、仮に実労働時間が8時間以内であっても、終業時間後の労働時間に対して2割5分の割増賃金の支払いが必要になります。

解説

労働基準法では実際に働いた時間(実労働時間)を基準とする考え方を採用しています。

年次有給休暇は、「平均賃金または所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない(労働基準法第39条第6項)」のであり、本質は労働義務の免除にあるので、たとえ賃金が支払われたとしても半日分働いたことにするわけではありません。

例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社において、従業員が半日の年次有給休暇を取得した場合では、賃金の対象となる時間は8時間分になりますが、実際に働いた時間(実労働時間)は定時の終業時刻の時点で4時間になります。

午前半休を取得し午後からの出勤により定時を過ぎてしまう場合がありますが、この場合は、午後からの出勤で実際に働いた時間が8時間(定時の終業時刻から4時間)を過ぎてから25%の割増賃金の支払いが必要になります。ただし、定時の終業時刻から4時間までの労働については法定内残業として通常の賃金の支払いが必要になります。

労働基準法での労働時間は実労働時間を指しています。従って、割増賃金の支払い義務が生じるのは、実労働時間が法定労働時間を超えた場合に限られます。

このように労働基準法では実労働主義が採用されていますので、割増賃金の支払いについて年次有給休暇の取得時間は労働時間に算入せず、実労働時間で給与計算を行うこととなります。