【税務Q&A】社員個人負担のある慰安旅行は課税対象?

税務Q&A

当社は、使用人数も少ない同族会社ですが、業況も比較的良好で安定していることから、今年の社員慰安旅行はハワイ島への旅行を計画しています。

これに要する費用は、おおむね1人当たり14~15万円程度になるものと見込まれていますが、7万円は個人負担とする予定です。このような慰安旅行費用については、税務上どのように取り扱われるでしょうか。

その旅行に要する期間が4泊5日(目的地の滞在日数)以内である等の一定の要件を満たす場合には、その経済的利益については課税しなくても問題ありません。

解説

所得税関係

使用者が役員又は使用人のためのレクリエーション行事の費用を負担した場合には、そのレクリエーション行事が社会通念上一般的に行われていると認められるものであるときは、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、原則として、課税しなくて差し支えないとされています。

慰安旅行の旅行先が海外である場合も同様です。かつては、海外慰安旅行は一般に行われていないとの理由で、原則としてこの通達の適用はないものとして取り扱われていました。しかし、昨今は海外旅行が一般的なものとなり、海外慰安旅行も増えてきたため、単に慰安旅行の目的地が国内であるか国外であるかにより取扱いを異にすることは適当ではないということから、その旅行先が国内及び国外を問わず、これらの旅行に参加した従業員等が受ける経済的利益については、その旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合などを総合的に勘案して課税・非課税の判定をすることとされました。

もっとも、次のすべての要件を満たす慰安旅行については、原則として、課税しなくて差し支えないものとされています。

1.その旅行に要する期間が4泊5日(目的地の滞在日数によります。)以内のものであること。
2.その旅行に参加する従業員などの数は全従業員等(工場、支店等で行う場合には、当該工場・支店等の従業員等)の50%以上であること。

したがって、おたずねのハワイ島への慰安旅行についても上記のいずれの要件も満たすものであれば課税しなくて差し支えありませんが、いずれかの要件を満たさないときは、旅行参加者に対する給与(賞与)として課税されることになります。

なお、上記慰安旅行に関する取扱いの基準は、あくまでも少額不追及の趣旨から設けられているもので、福利厚生行事として一般的に行われる新年会、忘年会又はボーリング大会等の簡易なレクリエーションに参加した場合の経済的利益の取扱いと軌を一にするものです。したがって、たとえ当該基準を形式的に満たしていても、少額不追及の趣旨に反するような高額な慰安旅行の場合には、原則に従い課税されることとなりますので注意が必要です。

法人税関係

所得税の課税対象とされない慰安旅行費用については福利厚生費として損金の額に算入されます。また、所得税の課税対象となる慰安旅行費用については、使用人分は損金の額に算入されますが、役員分は定期同額給与又は事前確定届出給与のいずれにも該当しませんので、損金の額には算入されないことになります。

消費税関係

旅行業者に支払う旅行費用は、通常、課税仕入れに該当しますが、海外旅行の費用は、免税取引又は国外取引に該当する費用ですので、原則として課税仕入れに該当しません。

ただし、パスポート交付申請等の国内における役務の提供の対価として旅行業者に支払う事務手数料や国内運賃、出発時間の関係で出発前夜に空港近くに宿泊を要する場合の国内宿泊費等については課税仕入れに該当します。