当社は、年1回3月決算で、従業員に対し毎年7月と12月に賞与を支給しています。
当期は、営業成績が好調で相当の利益が予想されますので、3月に決算賞与を支給することとしましたが、資金繰りの都合で4月28日に支給することとしました。
従業員には、3月末日に在職する全員に対して各人の決算賞与の額を知らせることとし、かつ、4月1日から4月28日迄の退職者についても支給することとして、期末に未払賞与を費用として計上する予定ですが認められるでしょうか?
なお、当社は、賞与支給規定は特に定めていません。
決算期後1ヶ月以内に支給することとされていますので、3月末に在職した者全員に通知した金額が支給されている限り、損金経理を要件に賞与の未払計上が認められます。
解説
使用人賞与の損金算入時期については、原則として実際に支給した日の属する事業年度とされています。
この取扱いは、課税の明確性、統一性を図る観点から、平成10年度の税制改正で賞与引当金制度が経過措置を残して廃止されたことに合わせて定められたものです。
すなわち、法人が使用人に対して支給する賞与の額の損金算入事業年度は、次のとおり取り扱われます。なお、使用人賞与には、使用人兼務役員に対して支給する使用人分賞与が含まれます。
労働協約または就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与
※使用人にその支給額の通知がされているもので、かつ、その支給予定日またはその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限ります。
⇒その支給予定日またはその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度
次の要件のすべてを満たす賞与
⇒使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
① その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること。
なお、法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、この「通知」には当たりませんので注意する必要があります。
また、法人がその使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマーまたは臨時雇用者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同時に賞与の支給の対象としているものを除きます。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに支給額の通知を行ったかどうか判断することができます。
② ①の通知をした金額をその通知をしたすべての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること。
③ その支給額につき①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
なお、支給日に在職する使用人のみに賞与を支給する旨の定めはないものの、支給する額を通知したにもかかわらず、支給日までに退職したものには支給していないといった事実がある場合には、未払賞与の計上はできないこととなります。
上記の賞与以外の賞与
⇒その支給した日の属する事業年度
まとめ
今回のケースでは、労働協約等に賞与支給規定が定められていませんが、全ての使用人に対して期末までに支給額の通知をし、かつ、その後支給日までに退職した者についても期末の翌日から1ヶ月以内に支給しています。
したがって、上記2の①及び②の要件を満たしていますので、損金経理を要件に未払賞与の計上が認められます。