融資審査に通るために把握しておきたい決算書のポイント

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資金調達を考えているけど、金融機関に行って何を話せばいいのかわからない、毎年決算書を作成しているが、決算書の数字が何を意味しているのか、またどこを見たらいいのかわからない、といったお悩みはありませんか。または、日々の会社経営の中で、じっくり決算書を見る時間がないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、金融機関の融資の種類や、どのような審査をしているのか、そして決算書をどのように見て審査しているのかについて解説いたします。

金融機関の融資の種類

融資審査について説明する前に、金融機関が取り扱う融資の種類について解説します。主に次の3種類あります。

信用保証協会保証融資

信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者の資金調達の円滑化のために設立された公的機関であり、全国に47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)、計51もの信用保証協会があります。

特徴として、各自治体、市中金融機関とが連携した「制度融資」保証を取り扱っており、創業して間もない企業でも資金調達が可能です。一方、中小企業や小規模事業者を保証対象としているので資本金や従業員数に制限があり、また融資金額の上限が2億8千万円となっています。金利以外に保証料も必要です。

プロパー融資

プロパー融資とは、銀行など市中金融機関が独自で審査して貸し出す融資形態です。

特徴として、融資金額の上限はないものの審査が厳しく、日ごろの取引内容や取引実績、及び融資実行後における取引の拡大が見込めるかなども審査に加味されるので、融資審査のハードルは高くなっています。ただし、プロパー融資を受けることは企業の信用力の証でもあるので、事業活動において有利に働くこともあります。

日本政策金融公庫融資

市中金融機関ではありませんが、日本政策金融公庫による融資を利用することもできます。日本政策金融公庫とは、国の政策の下、銀行など市中金融機関を補完することを旨とし、社会のニーズに対応し、国の政策に応じた融資を機動的に実施する政府系金融機関です。

特徴として、融資制度が充実しており、創業して間もない企業をはじめ、企業の現状に即した融資を受けることができます。また、据置期間(借入してから初回返済までの期間)が信用保証協会保証融資より長いので、企業は資金繰りや経営計画において無理のない返済計画を立てることができます。

金融機関はどんな審査をしているのか

金融機関の融資の種類について説明しました。では、金融機関はどのような点に注目して審査しているのでしょうか。主に次の3点があげられます。

・定量分析
・定性分析
・担保、保証人

それぞれについて解説していきます。

定量分析

定量分析とは、決算書による財務分析のことで、決算書の数字に基づき経営分析指標により企業の財務力評価を数値化し、それぞれの金融機関の審査基準に突合して融資判断します。主に直近3期分について審査し、特に大幅な数値の変動のある勘定科目については必ずヒアリングがあるので対応できるようにしておく必要があります。

定性分析

定性分析とは、決算書等には表れない企業の特性について審査するものです
例えば、業種、企業の背景、経営者及び経営陣、従業員、取扱している財・サービス、取引先(仕入先、販売先)、市場状況、業界の特徴など幅広い項目が審査の対象となります。特に以下の項目については慎重に審査されます。

・業種が金融機関の融資対象外の業種なのか
・商業登記簿謄本に記載の事業目的に融資の対象外業種の記載がないか
・許認可が必要な業種であれば取得しているか
・企業及び経営者や経営陣が反社会勢力と関わっていないか、あるいは社会的に問題のある企業でないのか
・登記簿上の代表者が実質経営者であるか

担保、保証人

特に市中金融機関でのプロパー融資においては、上記2点に加えて「保全」を加味して審査します。なぜなら、債務者が支払えなくなれば損失が発生するからです。

担保

主に「不動産」「預金」を担保として徴求するのがほとんどです。参考までに一般的な担保評価額の算出方法を記載します。

・不動産の評価額の算出方法
土地:該当不動産の路線価価格×面積
建物:1㎡あたり再調達価×面積×築年数÷耐用年数
でそれぞれ評価額を算出し、その評価額に70%を掛けて担保価を算出します。

・預金
自行の預金に質権設定(担保として預かり、返済が滞った際には処分して弁済に充当できる権利)し、100%で評価します。

保証人

金融機関は企業の経営者を連帯保証人として設定する ことがほとんどですが、「経営者保証に関するガイドライン」に基づいて、一定の経営状況であれば経営者の保証がなくても融資は可能なケースもあります。

また、事業に関わっていない第三者を保証人とする場合、「保証意思宣明公正証書」を公証役場にて作成する必要があります。

金融機関は決算書のどこに注目しているのか?

銀行など市中金融機関が審査の一つである定量分析のメインとなる決算書について、直近3期の数値をチェックしていることは述べましたが、具体的には決算書のどういった点について審査しているのでしょうか。損益計算書、貸借対照表(自己資本、負債、資産)のそれぞれの着眼点について説明します。

損益計算書

「売上」や「当期純利益」をチェックするのは当然として、最初に審査する項目は「売上高総利益率(=売上総利益÷売上高)」です。売上総利益(=売上高ー売上原価)の売上高に対する割合、つまり粗利率について見るわけです。「売上」は景気などに左右されるので、金融機関は業種ごとの売上高総利益率を指標として、審査する企業の売上高総利益率が指標としている業種の数値とを比較し審査します。

また、注視するポイントは「販売費及び一般管理費(販管費)」です。売上に見合った支出になっているのかについて常に注意する必要があります。

貸借対照表

自己資本(純資産)

金融機関が貸借対照表で最初にチェックするのが、「自己資本(純資産)」の数字です。

総資産から総負債を引いた値ですが、この値がマイナス、すなわち資産を全て負債に充当してもなお負債が残る「債務超過」となると、金融機関への印象が非常に悪くなります。債務超過を解消する方法として、毎期利益の計上、増資の実施、または負債の「代表者借入」の自己資本への振替、などがあります。

また、「自己資本比率(=総資産÷自己資本)」についても審査対象企業の業種の自己資本比率の平均値と比較し検討します。

負債

次に注視するのは借入金の規模です。月商に比べどれくらいの借入金があるのかで借入金の規模を計ります。業種にもよりますが、通常金融機関は月商の3ヵ月分の借入金を目安としています。また、売上高の推移と借入金の推移と整合性についても審査します。加えて、借入先にも注意し、特に個人など金融機関以外からの借入がある場合は説明する必要があります。

他には買掛債務(買掛金及び支払手形)の回転期間についてもチェックします。つまり、回転期間を買掛債務÷1月当たりの仕入(=売上原価÷12)にて算出し、買掛債務回転期間が以前の事業実績と比べて短くなっていないかを審査します。

資産

買掛債務同様、売掛債権(売掛金及び受取手形)の回転期間についてもチェックします。つまり、売掛債権÷月商(=売上高÷12)にて算出し、売掛債権回転期間が以前の事業実績と比べて長くなっていないかについて審査します。

同じく、在庫についても棚卸回転期間(商品÷月当たりの仕入(=売上原価÷12))を算出し、在庫商品が以前の事業実績と比べて長期化されていないか調べます。

また、仮払金において、金融機関が審査する3期分の決算書に同じ取引先が同じ金額を毎期計上されている場合、金融機関は「固定化債権」と判断し総資産から対象となる仮払金を控除して審査します。

まとめ

金融機関にはどのような融資の種類があり、また、いかにして審査をしているのか、そして決算書のどういった点を見ているのかについて説明しました。経営者自身が自社の業況を数字で把握し、金融機関に説明できるようにする必要があることがおわかりいただけたと思います。

とはいえ、営業活動その他でなかなか実態の把握にまで手が回っていない経営者もいるかと思います。キャシュモでは、財務分析及びキャッシュフロー分析に基づいた、安心した資金調達方法を提案しております。興味がございましたらぜひキャシュモにお問い合わせください。