当社では、この度社長が老齢のため相談役に退き、新たにその長男が社長に就任しました。
相談役は、役員(取締役、監査役)として登記していませんが、非常勤の取締役として待遇する旨を取締役会で定めています。
相談役の職務としては、取締役会への出席をもとめられた場合に意見を述べる程度で、取締役会の決議に参加することはありません。
税務上、相談役、顧問であっても法人の役員として取り扱われることがあるそうですが、当社の相談役は役員に該当することになるのでしょうか。
単に取締役会に出席して意見を述べるにとどまり、経営上の重要事項を決定する立場にはないと認められるため、経営に従事しているとはいえず、役員には該当しないものと思われます。
解説
法人税法上の役員とは、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち、次の者(いわゆるみなし役員)をいいます。
① 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限られます。②において同じです。)以外の者でその法人の経営に従事しているもの
例えば、相談役、顧問その他これらに類する者でその法人内における地位、職務等からみて、他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められる者がこれに該当します。
② 同族会社の使用人のうち、同族会社の判定株主の親族など一定の要件を満たす者で、その会社の経営に従事しているもの
ところで、経営に従事するとは、法人の主要な業務執行の意思決定に参画すること、つまり経営上の重要事項について決定権を有し、その結果に対して責任を有することをいうものと考えられます。
今回のケースの場合、相談役は商法上の取締役等ではなく、単に非常勤の取締役として待遇されるということにすぎず、また、使用人のみの地位にあるものとも認められませんので、その相談役が経営に従事しているかどうかでみなし役員に該当するかどうかの判断をすることになります。
今回のケースの相談役は、単に取締役会に出席して意見を述べるにとどまり、取締役会の決議には参画していないことから、経営方針等の決定等経営上の重要事項を決定する立場にあるとはいえず、したがって、実質的に経営に従事していると認められませんので、役員には該当しないものと思われます。