法人成りとは?個人事業主が法人化するメリット・デメリットとベストなタイミングを解説

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個人事業主として仕事をして、順調に売上が伸びてくると、「会社にすべきか」という選択肢が出て来ます。世の中には個人事業主と同じように見える、経営者が1人で事業を行っている会社もありますし、長く個人事業主を続ける方もいらっしゃいます。

そんな中で、「自分はどうすべきか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

今回はその「法人成り(法人化)」をすべきかどうか。メリットとデメリットをご紹介しつつ、適切なタイミングまで解説します。仮に今現在は個人事業主で良くても、今後どうするべきなのか考えることは非常に重要です。是非最後までご覧ください。

法人成りとは?

そもそも法人成りとは何なのでしょうか。

法人化とも言われますが、その定義は「個人事業主が法人を設立すること」です。法人にはNPOや一般社団法人等様々な種類がありますが、一般的には株式会社や合同会社といった「会社」を指すことが多いでしょう。

起業・独立と聞くと会社を設立することをイメージする方も多いですが、実際は個人事業主として事業を始めて、後に「法人成り」するケースも多いものです。法人成りは周りの人に祝ってもらえる、おめでたいこととされていますが、もちろんメリットだけでなくデメリットも存在します。

自分の事業にとってどちらが向いているのかを判断するためにも、それぞれ見ていきましょう。

法人成りのメリット

国税庁の会社標本調査によると、令和元年時点で日本には275万を超える法人が存在します。これだけの数の法人が設立されるわけですから、当然法人に成るメリットが有るはずです。代表的なものをご紹介します。

社会的信用を得られる

法人の方が社会的信用を得られるというのは、感覚的にもわかりやすいメリットです。

実際に個人事業主とは取引しないという大きな企業もありますし、金融機関から融資を受ける際にも個人事業主より法人の方がスムーズになります。特に日本では、会社に所属して働いている人が多いため、名前を名乗るときに会社名も必ずつける習慣が根強く残っています。個人事業主として働かれている方なら、名前を名乗った際に「どちらの○○様でしょうか?」と聞かれたこともあるのではないでしょうか。

また、株式会社に限定されます(合同会社の場合は「代表社員」となる。)が、個人事業主から法人成りすると「社長」になることが出来ます。「社長」という肩書が持つ効果は絶大で、名刺に「代表取締役社長」とあるだけで信用を得られる場面も少なくありません。

所得税率が低くなる

多くの個人事業主が法人成りする一番の目的はこの所得税率でしょう。

個人事業主の所得税率は累進課税で、所得が上がれば上がるほど税率が高くなります。年間所得が4千万円を超えると最大の45%にもなり、大きな負担となります。

一方で法人所得税は固定税率です。

会社の規模や事業によって多少の違いはありますが、個人事業主が法人成りする際に一般的な「資本金1億円以下の法人」であれば年間800万円の利益までは15%。それ以上の部分についても最大23.2%となります。

稼げば稼ぐほど税負担が重くなる個人事業主に比べて、税率が固定されているのは大きな魅力です。

消費税が免税される期間が伸びる

個人事業主の方であればご存知の方も多いでしょうが、個人事業主であれ法人であれ、開業・設立から2年間は消費税の納税義務がありません。法人成りを検討するような個人事業主の方であれば、3年目以降から消費税の納税義務がある「課税事業者」になっている方も多いでしょう。

この課税事業者である個人事業主が法人成りすることで、再度2年間「非課税事業者」になれます。課税事業者となる年間1千万円の売上が最初からある場合でも、個人事業主として2年活動した後に法人成りすることで、最大4年間消費税の納税免除を受けられます。

法人成りのデメリット

たくさんの法人が設立される一方で、長く個人事業主を続けられる方もたくさんいらっしゃいます。法人成りにあたってデメリットもあるからです。

代表的なデメリットも見ていきましょう。

設立に手間と費用がかかる

税務署に開業届を出せば終わる個人事業主のスタートと違って、法人の設立は手間も費用もかかります。

・会社の概要を決める
・類似商号や事業内容に問題がないかを確認する
・法人用のハンコを作成する
・印鑑証明書を取得する
・定款を作成し、認証を受ける
・登記をする

等様々な手続きが必要ですし、法人登記等、手数料が必要なものもあります。自分で手続きができない場合は、行政書士等の専門家に依頼することになりますが、もちろん費用が発生します。法人に信用があるのはこういった手間をクリアしているからという面もありますが、個人事業主に比べると遥かに大きな手間がかかると言えるでしょう。

会計業務が煩雑になる

個人事業主の場合でも会計業務に悩まされている方は多いでしょう。しかし、法人となると更に煩雑になります。自分ひとりで確定申告をしている個人事業主も多いですが、法人となると実質的に不可能になります。公認会計士や税理士といった専門家に依頼することになり、これも費用となってきます。

専門家だけでなく、社内での事務処理のために経理担当の社員を雇う必要が発生することもあり、大きな負担となります。

赤字でも発生する税金がある

個人事業主の場合は赤字だった場合には原則税金が発生しませんが、法人には無条件で発生する税金があります。最低年間7万円支払う必要があるこの「法人住民税」も法人成りすることで発生するデメリットです。

赤字前提で法人成りすることはありませんが、事業経営は予測不可能なもの。事前にきちんと認識しておきましょう。

接待交際費を経費計上できない?

会社員と違い個人事業主や会社経営者は様々な節税の工夫をしているものです。

その代表的なものの一つが「接待交際費」でしょう。

個人事業主の場合はこの接待交際費に上限がありません。もちろん事業に必要な経費であることが前提ですが、かかった分はすべて経費計上でき、個人事業主であることの大きなメリットです。

法人成りするとこの接待交際費の計上に上限がつけられます。

資本金1億円以下の法人の場合、

・年間800万円まで
・接待飲食費の50%まで

のどちらかを選ぶことになります。これ以上の部分は「損金不算入」と呼ばれ、売上から控除することが出来ません。

法人成りするのにベストなタイミングは?

ここまで法人成りをするメリットとデメリットを見てきました。では実際に法人成りするのはどういったタイミングが良いのか考えてみましょう。

一般的には所得が800万円を超えた時

ご紹介したとおり個人事業主と法人では所得税率が違います。売上が小さければ個人事業主のほうが税負担が低く、売上が大きくなるほど法人の方が税金面で有利になります。

法人の方が有利になるポイントが「一般的には」所得が800万円を超えるポイントと言われています。この数字はあくまで一般論であり、所得控除や事業以外の収入の有無によって変わってきますので、法人成りの判断は個別に税理士などの専門家に相談する必要があります。

とはいえ、個人事業主の方は「所得800万円」を一つの目安として考えておくと良いでしょう。

売上高1,000万円

所得800万円の他にもう一つ、売上高1,000万円も目安になります。

先述の消費税の課税業者となる条件が、「2年前の売上高が1,000万円を超えている」ことだからです。消費税の納税義務が発生する年が法人成りする一つのタイミングと言えます。

まとめ

今回は個人事業主が法人成りするメリットとデメリット、最適なタイミングをご紹介しました。事前にポイントを把握し、自身の事業にとって最適な形態とタイミングを把握しておきましょう。

ご紹介したとおり、法人成りすると飛躍的に増える事務負担ですが、個人事業主にとっても軽くない負担です。確定申告の手続きなどで本来の事業に集中できないないという方も多いのではないでしょうか。

近年ではこういった間接業務をアウトソーシングするという流れも強まっています。間接業務はプロに任せて、自分は事業にできるだけ集中するというのも有力な選択肢でしょう。

キャシュモグループでは、法人成りのお手伝いを始め、税務顧問・労務顧問・財務コンサルティングや経理のアウトソーシングなど、お客様の経営のサポートに関して多岐にわたるサービスをワンストップで提供します。今後の事業運営に関するお悩み事がございましたら、是非弊社までお問合せ下さい。

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