地方の中小企業経営者に求められる会計知識

経理お役立ち情報

毎年必ずやってくる確定申告。帳票の整理や書類の作成など、確定申告の作業は大変だと感じている中小企業の経営者は多いのではないでしょうか。
特に、地方では、経理の人材や税理士の不足が深刻化しており、特に個人事業主や中小企業では経営者自らが確定申告の作業を行わなければならないなど負担が増しています。そして、このような状況はさらに悪化することが予想されます。

今回は、このような状況下で経営者が取りうる「二つの選択肢」を提示したうえで、地方の中小企業に経営者に求められる会計知識について考察してみたいと思います。

確定申告は民主的な制度

「煩わしい確定申告さえなければ…」。中小企業の経営者なら、このように愚痴ってしまったことが一度はあるのではないでしょうか?

しかし、確定申告を「悪者」にするのはいささか早計だと言えます。法人税や所得税、事業税などの納税額を事業主自ら計算した上で納める「申告納税制度」は、民主的でフェアな制度です。
また、確定申告や決算処理によって1年間の財務状況を見直すことは、会社経営の観点からも非常に意義のあることです。

定められた確定申告の手続きを遅滞なく行い、経営で見直すべきところは見直す。同時に、確定申告や決算処理の作業負担を軽くして、経営者や社員が本業である事業部門の仕事に打ち込むことができる環境づくりが求められます。

経理人材、税理士不足が深刻化

とはいえ、人材確保という面において、地方の中小企業を取り巻く状況は悪化の一途をたどっています。経理人材と税理士の不足が深刻化しており、個人事業主や零細企業のみならず、中小企業の経営者も自らが確定申告の作業をしなければならない状況が迫っています。

経理人材の不足

2017年に中小企業基盤整備機構が行ったアンケートでは、回答企業の7割超が人手不足を感じているとしています。さらに、全人口に占める地方の人口の割合は一貫して減り続けており、地方から三大都市圏への人口流出は止まる気配がありません。地方の中小企業の人材不足は、深刻さを増しています。

そのような中、経理人材は、地味で目立たない、決算期にオーバーワークになる、AIに仕事を奪われる、といったマイナスイメージがつきまといます。会計基準や税法の頻繁な改正に対応できる人材も限られており、採用は一筋縄ではいかなくなってきています。

税理士不足

地方で不足しているのは経理人材だけではありません。中小企業のよき経営の相談相手である税理士も不足しています。特に若手が少なく、高齢化が進んでいます。
日本税理士会連合会の集計では、2021年10月末現在の全国の税理士登録者数は79,898人。うち東京都だけで23,749人で、全体の約3割を占めます。ちなみに四国は1,648人。人口は全国の3%を占めますが税理士は全国の2%しかいません。都市部に税理士が集中する一方で、地方では不足してきているのです。

税理士試験の受験者数も、近年はずっと右肩下がりが続いています。2021年度の受験者数は55,066人で、久しぶりに前年度(54,301人)から微増に転じましたが、新型コロナウイルス禍で前年度受験を避けた人が上乗せされただけとも言われています。また受験者の年齢も高齢化しています。いずれにしても、特に地方では30代、40代の若手税理士は不足しているのが現状です。

経営者が取るべき対応策は

経理人材が確保できず、確定申告や決算処理の作業を行う従業員がいなくなってしまった場合、どうすればよいのでしょうか。対応策としては、事業主が簿記を学んで作業をするか、経理作業をアウトソーシングするかが挙げられます。

経営者が簿記を学ぶ

企業の会計は複式簿記が採用されています。確定申告や決算処理などを行うには、複式簿記の知識がある程度は必要となります。
書店には、簿記の教科書や問題集が多く取りそろえられています。また現在では、通信講座も充実していて、資格専門学校・予備校が配信する映像講義をパソコンやスマートフォンでいつでもどこでも聴講できます。専門学校や予備校が少ない地方でも、簿記を勉強できる環境は以前に比べ格段に整っています。
しかし、知識を習得するにはそれなりに時間を費やさなくてはいけません。一般に、比較的平易とされている日商簿記3級に合格するのでも、100時間以上の学習時間が必要と言われています。忙しい社業の合間に、時間を確保して勉強を続けるのには根気と努力が必要になってきます。

経理のアウトソーシング

時間と人手が足りない経営者にぜひ検討をお勧めしたいのが、経理のアウトソーシングです。特に、経理人材や税理士が不足している地方において、大都市圏のアウトソーシングを活用することは有力な選択肢の一つとなります。クラウドシステムなどを駆使した最先端のアウトソーシングであれば、ペーパーレスな処理をオンラインで行うので、大都市圏から離れた地方であってもアウトソーシングを活用できます。

昨今、経理のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスのニーズが拡大しています。BPOサービスでは、会計ソフトへの仕訳入力をはじめとした記帳を代わりに行ってくれます。また、請求書を発行して得意先に送付してくれるほか、入金の消し込みなど売掛金も管理。費用関係では、諸経費の計算、給与の計算と支払いも行います。
固定資産の減価償却、売上原価の算出、当期純損益の計上などといった決算処理も代行。各勘定科目の毎月の計上額を集計した「月次試算表」も作成してくれるので、足元の取引状況や取引規模などの情報を知ることが出来ます。さらには、経営計画の策定支援、予実分析、資金繰りのシミューレションなども行ってくれます。日々の業務から高度な経営分析までを肩代わりして行ってくれるため、経理人材を置く必要がなくなるのです。

とはいっても、財務諸表を読む力など、最低限の簿記の知識は経営者として持っておきたいものです。最低でも売上、利益、預金、借入金残高については理解をしておく必要があります。

まとめ

確定申告の作業で慌てないためには、普段の経理業務をきっちり行っておく必要があります。
例えば、申告ソフトの利用。手書きや表計算ソフトによる管理は、多くの手間がかかり、それこそ専門的な簿記の知識が必要になります。
また、普段から記帳をきっちりとしておき、領収書をしっかりと保管しておくことも重要です。

厳しい社会状況の中で、社業を盛り上げていくためには、経営者の経理知識のビルドアップはもちろん必要です。しかし経理人材や税理士が特に地方で不足することが懸念される中、企業の経理負担を軽減してくれるアウトソーシングを検討することをお勧めいたします。
オンラインで業務を完結させ、離れていても経理をしっかり代行してくれるアウトソーシング会社も現れています。地方の企業が、大都市圏にアウトソースすることが当たり前になるボーダレスな時代は、すぐ近くまで来ているのかもしれません。

キャシュモのアウトソーシングは、最先端のクラウド型システムをフル活用したスピーディーな処理により、月次試算表を最短5営業日で作成します。キャシュモの事務所は東京にありますが、ペーパーレスなオンライン処理ですので、場所を問わずモートでアウトソーシングを提供します。
将来を見据え、ぜひ一度キャシュモにご相談ください。

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