「企業の目的は、顧客の創造である」
有名な経営学者であるピーター・ドラッカーの言葉です。そしてそのためには「マーケティングとイノベーションのみが成果をもたらす」と語っています。今月号はマーケティングについて、2019年2月の投稿を再編集して掲載します。
マーケティングとは何か
「マーケティング」と聞くと「いかに物を売るのか考えること」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。一概に間違えているわけではありませんが、お客様からの視点、つまりは「お客様第一」で考えることが重要なテーマになります。
北青山コンサルティンググループではマーケティングを「お客様のためになる商品は何か、お役に立てるサービスは何かを考え、具体的にしていく活動」と定義しています。
マーケティングに必要な考え方
ビジネス書などでも「お客様が買うのは“満足”です。」という表現を目にすることがあります。考え方の問題なので否定をするわけではありませんが、実際には「満足」を直接購入するお客様は存在しません。お客様が購入するのはあくまで「商品」や「サービス」です。商品やサービスを通じて、満足や感動を得ようとしているのです。
したがって、自社が提供する商品やサービスがいかに他社と違うものかを明確にして、お客様に選んでいただけるかが、マーケティングの根本的な考え方となります。つまり「差別化」こそ、マーケティングの基本なのです。
差別化の方法=QPSの組み合わせ
差別化の手段として商品・サービスのQPSの組み合わせを考えることをお勧めします。
Q=Quality=品質 | 商品そのものの内容、品質 |
P=Price=価格 | 商品の提供価格 |
S=その他の要素 | お客様の購入理由のうち、QでもPでもないもの。
例)店が近いから、知り合いだから、評判が良いから |
企業には、このQPSをお客様が求めている組み合わせに近づけていくことが求められます。ここでは「お客様が求めている」というのがポイントになります。購入するか否かを決定するのは、あくまでもお客様ですので、自社の都合で価格を上げたり、品質を落としたりしてしまうと、購入していただけなくなる可能性があります。重要なのは「お客様から見て魅力的な商品・サービスを、納得感のある価格で提供する」ことです。
ちなみにQとPで差別化しづらい、あるいはお客様に違いが伝わりにくい商品やサービスについては、S=その他の要素が、お客様の意思決定に大きな影響を与えます。ここに含まれるのは、立地やお客様との関係性、評判、決済方法など、実に様々です。お客様になぜ購入いただいているのか、お客様の目線に立って分析してみる必要があります。
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冒頭に引用したドラッカーの言葉にあるように、マーケティングの目的は「顧客の創造」です。そのため、自社の都合を基準
に考えていては、いつまでたっても答えにたどり着けません。「お客様の視点で考える」ことこそがマーケティングの基本です。この機会に改めて、お客様目線で自社の商品やサービスを考え直してはいかがでしょうか。
<良い会社チェックリスト>
□「 他社にはない強み」は明確になっていますか?
□「 お客様にご購入いただけている理由」を説明できますか?
□「 お客様の声」を収集して、商品開発に活かしていますか?
<参考文献>
・小宮一慶(2017)『経営者の教科書』ダイヤモンド社