世界に比較し、遅れていた日本のキャッシュレス決済もようやく普及し始めました。
最近ではQRコードを使った決済などが話題になりますが、元祖キャッシュレス決済と言えばクレジットカード。ネット通販やスマホ料金の支払いに使えることから、既にお持ちの方も多いでしょう。
実はこのクレジットカードには個人用の他に法人用のビジネスクレジットカード(法人カード)というものがあります。その名の通り、ビジネス用途として経営者や個人事業主に使われるこのビジネスクレジットカード。一体どんなものなのでしょうか。
今回はその基本的な部分から、ビジネスクレジットカードのメリット、使う際の注意点をご紹介します。ご自身にビジネスクレジットカードが必要かどうか分かりますので、是非最後までご覧ください。
ビジネスクレジットカード(法人カード)とは?
普段使っているメインのクレジットカードを仕事用にも使っていて、どれが会社の経費かわからなくなるといったお悩みはありませんか?
事業が小規模なうちは個人カードを流用していてもあまり問題になりませんが、仕入れや支払いが多岐に渡るようになると経費処理が大変になります。こういった悩みを解決するために存在するのが、ビジネスクレジットカードです。
個人カードとは違った特典やサービスが受けられるこのビジネスクレジットカードのメリットを見ていきましょう。
ビジネスクレジットカードを使うメリット
ビジネスクレジットカードには様々なメリットがありますが、代表的なものでは
・経費計上を確実に行える
・公私混同を避けられる
・キャッシュフローが改善する
・様々な特典が受けられる
・経費精算が簡単になる
といったポイントが挙げられます。一つずつ見ていきましょう。
経費計上を確実に行える
経営にとって経費計上はとても大切な作業です。
頑張って売上を上げ、利益を出しても適切に経費計上が漏れていると、必要以上に税金を納めることになりかねません。もちろんどの経営者もそういったことのないように経費を漏れなく計上する努力をするのですが、ここでクレジットカードが問題になってきます。個人のカードを仕事用の支払いに使っていると、どうしても抜けが出やすくなります。最近ではネット通販も普及しておりますので、会社の経費と日々の買い物とを切り分ける手間もあり、結果的に経費の計上漏れになってしまうことも考えられます。
会社の経費の支払いはビジネスクレジットカードにすることでこういった問題を防げます。
公私混同を避けられる
経費の計上漏れと似ていますが、個人カードを仕事にも使っている場合は逆に公私混同になってしまうことも考えられます。
自分のプライベートでの買い物と仕事の支払いが一緒くたになってしまうと、プライベートの費用を会社の経費として計上してしまうことも考えられます。計上漏れの場合は自分が損をするだけですが、プライベートの支出を経費としてしまうと脱税になってしまう可能性もあります。しっかりと「仕事の支払いはこのビジネスクレジットカード」と決めておくことで、こういった問題を防げます。
この点については、「仕事用の経費はすべて現金で精算すれば良い」という考え方もありますが、最近のサービスにはクレジットカードでしか利用できないものがかなり増えています。こういったサービスをきっかけとして、仕事用とプライベートが混ざってしまう可能性もあります。
やはり仕事用の精算はビジネスクレジットカードに統一しておくほうが良いでしょう。
キャッシュフローが改善する
ビジネスクレジットカードを導入する際は、できるだけすべての支払いをビジネスクレジットカードで行うことがポイントです。
家賃、水道光熱費、通信費、消耗品費、旅費交通費など事業を行っていると様々な支払いが発生します。こういった支払いをすべてビジネスクレジットカードで行うことでキャッシュフローが改善するというメリットが生まれます。
クレジットカード利用分が実際の銀行口座から引き落とされるまでにはタイムラグがありますので、その分事業資金に余裕が生まれます。万一キャッシュが不足しそうという事態に陥った場合には、後からリボ払いに切り替えることで更に猶予を得られます。
様々な特典が受けられる
クレジットカードの特典といえばまず思いつくのは、「ポイント制度」です。
ビジネスクレジットカードにもこのポイント制度はありますので、会社の支払いをするたびに一定のポイントが溜まっていきます。事業用の支払いは一般的に金額が大きいので、そのポイントを他の支払いに使用するなどして、経費圧縮を可能にします。
また個人カードと違い、ビジネスクレジットカードにはビジネス向けの特典が用意されていることが多いです。各社特典内容に違いはありますが、コワーキングスペースの割引や、業務用品の割引等が受けられます。自社に相性の良い特典があるカードを選べば大きなメリットとなるでしょう。
また、出張時には荷物預かりやポーターサービス、ラウンジの利用などが特典として提供される場合もありますので、出張が多い場合はこちらも確認しましょう。
経費精算が簡単になる
ビジネスクレジットカードを使う最大のメリットはなんと言っても「経費精算が簡単になる」ことです。
クレジットカードには全ての利用履歴が記録されます。紙で明細が送られてくる場合もありますが、多くの場合はCSVというデータで出力することが可能です。簡単に全ての支払を確認することが出来ますし、分析のためにエクセルで加工することも容易になります。更に、明細自体が領収書の役割を果たしますので煩雑な領収書の管理も軽減されます。今まで全ての支払いを現金と領収書で行っていた方がビジネスクレジットカードに切り替えた場合、かなりの工数削減につながるでしょう。
また、最近注目されているクラウドの会計システムにビジネスクレジットカードを登録することで、仕訳の入力といった会計処理がほぼ自動化できます。
まだまだ現金や振り込みでしか支払いが出来ない場合もありますので100%とは行きませんが、ビジネスクレジットカードとクラウド会計システムを使えば、経費処理にかかる工数の大部分をが消滅することができます。
ビジネスクレジットカードを使う際の注意点
とはいえ、何事にも良い面と悪い面があります。ビジネスクレジットカードを使う際には注意点も存在します。以前は分割やリボ払いが出来ないことがデメリットでしたが、最近ではビジネスクレジットカードでも一般的になりました。
今でも残る注意点は以下の2点になります。
・年会費がかかる
・利用限度額に幅がある
年会費がかかる
最近日本で一般的に普及しているクレジットカードの多くは個人利用の場合は年会費無料です。一方ビジネスクレジットカードのほとんどは年会費がかかります。この年会費はデメリットとなるために注意が必要ですが、事業用の支払いを一本化する場合はポイントを始めとする特典のメリットが上回ることも少なくありません。
利用限度額に幅がある
事業で使うカードはその利用額も大きくなりがちです。ビジネスクレジットカードの利用限度額は各社によっても違いますし、また自社の状況によっても変わってきます。毎月100万円を超える利用が想定する場合は、事前に限度額を確認してから申し込みをしましょう。
まとめ
今回はビジネスクレジットカードとはなにか?そのメリットと注意点をご紹介してきました。
年会費や利用限度額といった注意点はあるものの、きちんと調べ、適切に使えばメリットが遥かに上回ります。支払いや経費処理といった作業は大切ですが、利益を産むものではありません。ビジネスクレジットカードを活用することで工数を削減し、事業そのものに集中できる環境を整えると良いでしょう。
更に経費処理を効率化する方法として、専門の会社にアウトソーシングするという方法も有力です。会計関係の業務を全て任せられるだけでなく、経営者なら常に付きまとう税務関係の不安からも開放されるのも大きなメリットです。ビジネスクレジットカードをきっかけに、会計業務の効率化を進めていただければ幸いです。