令和5年4月1日から雇用保険の労働者負担分・事業主負担分が変更になります。
新型コロナウイルスの影響で失業手当や雇用調整助成金の支給額が増え続け、その結果、雇用保険事業の財政がひっ迫しており、雇用保険事業の安定的な財源確保のため、保険料が引き上げられることになりました。
今回は雇用保険制度の概要と雇用保険料率の改定について解説します。
雇用保険とは
雇用保険は、労働者が失業した場合等に必要な給付を行うことにより、労働者の生活および雇用の安定、求職活動を容易にするとともに、労働者の職業の安定をはかるため、失業の防止、雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発および向上、労働者の福祉の増進を図ること目的としています。
制度の全体像は以下の図のようになっています。
参照:「雇用保険制度の概要 ハローワークインターネットサービス」
雇用保険制度の給付内容は様々で、膨大な給付事業がありますが主要なものについて解説します。
・求職者給付
いわゆる失業手当のことで、定年退職や倒産、自己都合などによって離職した人を対象に給付が行われ、生活の安定と安心して再就職ができるように支援することを目的とした給付制度です。
・就職促進給付
就職促進給付は、離職後に再就職したときに給付されるものです。基本手当の受給者ができるだけ早く再就職できるよう、就職活動のモチベーションを高めることが目的です。
・教育訓練給付
教育訓練給付は、労働者の能力向上やキャリア形成を支援するものです。厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了すると、受講料や入学料などの一部が教育訓練給付として支給されます。
・育児休業給付
一般的に育児休業中の賃金は支払われないので、育児休業をしている労働者が生活に困らないように支援することを目的とした給付制度です。
雇用保険の加入要件
次の (1) 及び (2) のいずれにも該当するときは、雇用保険の被保険者となります。
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。
o 期間の定めがなく雇用される場合
o 雇用期間が31日以上である場合
o 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
o 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 ( 注 )
[(注)当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。]
(2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
雇用保険料率の改定
令和5年4月1日から令和6年3月31日までの雇用保険料率は以下の通りです。
参照:「雇用保険料率について 厚生労働省」
例)月収30万円で一般の事業で働く場合の1カ月当たりの金額
本人負担分:30万円×0.6%=1,800円
会社負担分:30万円×0.95%=2,850円
まとめ
雇用保険料は会社と従業員の双方が負担しなければなりません。雇用保険料率は毎年見直しが行われるため、現在の保険料率が正しいものか確認する必要があります。また、雇用保険加入のために必要な手続きをすることは会社の義務であるため、登録に漏れが無いように気をつけなければなりません。雇用保険加入の手続きは提出書類が多く煩雑な面があるので、お困りの際には、社会保険労務士にご相談してみてはいかがでしょうか。