近年、クラウドという言葉についてよく耳にするようになりました。しかし、「クラウドって具体的にどんなもの?」と尋ねられた時、明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
クラウドの概要は非常に曖昧なものですが、具体例やそのメリット・デメリットを知れば理解を深めることが可能です。本記事では、 クラウドについて詳しく説明していきます。
クラウドとは?
そもそも、クラウドとはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、クラウドの概要やサービス事例について解説します。
クラウドの概要
クラウドとは、クラウド・コンピューティングの略称で、コンピューターの利用形態の一つです。
伝統的な サービスにおいてはハードウェアの購入やソフトウェアのインストールなど、何かしらの手間をかけないと利用することが出来ませんでした。しかし、クラウドの登場により、労力をかけなくとも利用可能なサービスが生まれたのです。
クラウドの大きな特徴として、利用時にサーバー所在地が意識されないことにあります。これはつまり、雲(クラウド)の中に存在しているコンピューターを利用するようなものです。
最近ではネットを駆使することで、こうした雲(クラウド)上のサービスを利用できるようになりました。このように、ネット上のどこかにあるものの、はっきりとどこに存在するか分からないサービスをクラウドと総称します。
クラウドサービスの事例は?
では、クラウドサービスの事例としてはどのようなものがあるのでしょうか。 例えば以下のものがクラウドサービスとして挙げられます。
・「Gmail」や「Yahoo!メール」などのWebメール
・AWS(Amazon Web Services)
・Microsoft Azure
・MFクラウドやfreee会計などの会計ソフト
このように、クラウドサービスはWebメールや会計ソフトなど、多様なサービスによって活用されています。
クラウドの種類とは?
クラウドと一言で言っても、様々な種類が存在しています。
同じクラウドではありますが、それぞれ 特徴 も異なるのです。
以下では、クラウドサービスの種類についてご紹介します。
SaaS(サーズ)
SasSはWebメールや表計算、画像や動画の編集などのソフトウェアを提供しているサービスです。導入コストやランニングコストが安いこと、ユーザー側の管理が不要である点はメリットですが、その反面でカスタマイズの自由度が低いなどのデメリットもあります 。
IaaS(イアース)
インターネットを通じてサーバーや記憶装置、OSといったインフラを提供しているのがIaaSです。従来、システム構築を行う場合には自社でサーバー等を購入する必要がありました。しかし、このIaaSが登場したことでインターネット経由でいつでもサーバーやネットワークを利用できるようになったのです。
IaaSの特徴には、利用者がハードウェアのスペックやOSを自由に選ぶことができ、システムの運用に柔軟性があることが挙げられるでしょう。ただし、取り扱いに専門的な知識やスキルが必要になるなどの課題もあります。
PaaS(パース)
アプリの開発や提供を行うには、ネットワーク以外にも目的に応じて多様なソフトウェア・ミドルウェアが必要です。PaaSはそのような開発環境や実行環境などのプラットフォームを提供しています。PaaSを利用すると一から開発環境を作る必要がなく手間が掛かりませんが、その一方で自由度が制限されるというデメリットもあります。
DaaS(ダース)
DaaSはデスクトップの仮想化システムとして、ソフトウェアやデスクトップ環境そのものをクラウドで利用できるものです。特定のソフトウェアをインストールしなくともネットワークを介して利用可能な特徴があります。
デスクトップ環境もクラウド上で利用でき、利用者はディスプレイとキーボードなど、最低限の環境を整えさえすれば良い点が魅力です。ただし、利用中の動作が不安定になりやすいなどの欠点も存在します。
XaaS(ザース)
近年クラウドが普及する上で、ここまで紹介したような、IaaS,SaaS,PaaS,DaaSの範囲を超え、XaaSという言葉が誕生しました。XaaSとはクラウドにより提供されるサービス全般のことを表しています。「全ての資源が提供される」という意味を持ち、IaaS,SaaS,PaaS,DaaSなどを全て包括したサービスです。
クラウドサービスのメリット・デメリットとは?
クラウドサービスを利用するメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。以下ではメリット・デメリットについてそれぞれ解説します。
メリットについて
初期費用が安い
クラウドサービスのメリットとしては、まず初期費用が安いことが挙げられるでしょう。従来のサービスは自社でサーバーを購入するなど、最初に大きな投資が必要でした。
それに対し、クラウドはインターネットを介して必要な時にサービスを利用する仕組みです。そのため、初期投資のコストが安く済み、経済的な負担が少ないことはメリットと言えるでしょう。
導入の手間がかからない
また、クラウドサービスは導入時の手間がかからないことも魅力です。例えば、自社に応じたシステムを最初から構築しようとすると、設計や導入においてかなりの時間や手間が必要になるでしょう。
しかし、クラウドサービスでは最初から完成しているサービスを利用することができ、こうした負担がありません。スムーズに導入することができ、素早くサービスを利用できるのがメリットと言えます。
メンテナンスが必要ない
このほかに、メンテナンスが不要であることもメリットとして挙げられます。仮に自社でPCやハードウェアにデータを保存した場合、メンテナンスを定期的に行う必要があるでしょう。
しかし、クラウドサービスを導入すればこうしたメンテナンスは運営元が行ってくれます。日常的な点検を行う必要がなく、無駄な労力をかけなくて済む点も魅力です。
デメリットについて
上記ではクラウドサービスのメリットについて解説しましたが、デメリットも存在しています。以下では、デメリットについてそれぞれ解説します。
カスタマイズに制限がある
仮に自社でシステムを構築した場合、状況に応じて柔軟にカスタマイズすることができます。しかし、クラウドサービスは運営元が別になるため、そうした自在なカスタマイズが行えないのはデメリットになるでしょう。
ただ、最近では一定レベルまでカスタマイズすることが可能なサービスも多いです。もし、カスタマイズを行いたい場合にはそうしたクラウドサービスを利用するのが良いでしょう。
オンライン環境が必要になる
次に、クラウドサービスを利用する場合にはオンライン環境が必要になる点もデメリットの一つ。自社で開発したサービスであれば、ネット環境が不要であるケースもあります。
しかし、インターネットを介して提供されるクラウドサービスはオンラインでなければサービスそのものを利用することができません。インターネットを介さずにサービスを利用したい場合には不向きであると言えます。
セキュリティ面でリスクがある
このほかにも、クラウドサービスにはセキュリティ面のリスクがあります。例えばインターネット上から外部攻撃を受けることで、情報漏洩が発生する可能性もあるでしょう。また、人為的な操作ミスによって情報が流出する危険性も存在します。
このようなセキュリティ上のリスクがあることも、クラウドサービスを利用する前に把握しておかなければなりません。
まとめ
本記事では、クラウドサービスの概要や利用するメリット・デメリットなどについて解説しました。クラウドサービスは初期コストが安いことや、スピーディな導入などにおいて魅力があります。
しかし、その一方でセキュリティ面のリスクやカスタマイズの制限などが存在していることも把握しておくことが大切です。状況に応じて効果的に利用するのが良いでしょう。