強い中堅企業にヒントあり

経営お役立ち情報

あけましておめでとうございます。本年も経営に役立つ情報発信をすべく精進してまいります。よろしくお願いいたします。

慶応大学大学院経営管理研究科の磯辺剛彦教授を中心に、産官学の有識者からなる「中堅企業研究会」が昨年10月に「強い中堅企業のかたち 中堅企業研究会レポート2014」を発表しました。この報告書は、通常の戦略論で使われる超一流のグローバル企業の事例は普通の会社にとっては参考にはできないことから、平均的な企業や経営者が参考にできる強い会社のかたちを提示するという問題意識から作られました。

この報告書では、10億円~1000億円の売上規模の会社を中堅企業とし、そのなかで、成功している企業の事例(タニタ、ライフネット生命、中央タクシーなど)から強い企業となる成功要因を抽出しています。

この中で、強い中堅企業の特徴は、経営理念を頂点とした会社のかたち、作り方、設計思想にあり、この特徴が、従来の戦略論であるポジショニング戦略やリソースベース戦略だけでは説明できない、中堅企業の強さの源泉となっていると説いています。

報告書では、この強い中堅企業の経営を「ミッションコア経営」と呼んでいます。ミッションコア経営は、簡単に説明すると下記のような経営です。

・企業理念を企業活動の中心に置き、
・社員に企業理念を浸透させ、実行させる仕組みや環境を整え、
・理念に共感できるお客様を選び持続的な関係を結び
・利益はお客様へのサービスの対価であり顧客満足に優先させないと考える

【経営理念】
強い中堅企業の経営理念は「世のため、人のため」といった抽象的なものでなく、国や地域が抱える、具体的な問題に取り組む内容となっていると指摘されています。

例をあげれば、中央タクシーが経営理念として「お客様が先、利益は後」、そして、憲章の冒頭で「我々は、長野県民・新潟県民の生活にとって不可欠であり、さらに交通弱者・高齢者にとっては無くてはならない存在になる」と具体的な問題への取り組みを表しています。

【社員】
強い中堅企業では、社員に対して経営理念を浸透させ、それが行動に表れるまでになっています。しかし、平均的な企業にとっては簡単なことではありません。

まず、理念浸透により社員一人一人が自ら考え行動できるようになり、顧客により良いサービスを提供できるようになること、そして、その結果として顧客の利用回数や販売数が増え、会社の利益が増加すること、さらにその利益を使って従業員満足度と顧客満足度をさらに上げるという良循環を少なくとも経営層ははっきりと自覚し実践することが重要です。

そしてこれらの企業では、モチベーションを高めるための施策を打ち出して、やりがいを持たせ、不満足を減らし、働きやすい環境をつくりだしています。特にサービス業では従業員満足度が顧客満足度を左右することは広く知られています。社員が満足し力を発揮できない会社ではお客様を幸せにすることは難しいと言えるでしょう。

【顧客】
また、強い中堅企業は、顧客を選択し、その顧客が満足できるサービスを提供する点も特徴となっています。そして、使命としてその顧客の人生を手伝う持続的な関係を構築しています。例えば、タニタは、健康に関心の高い層を選び、単に体重計を売るだけでなく、健康のソリューションを提供することを提供価値としています。レシピ本などの食事、運動量計測器による運動、睡眠計による休養、体重計・体脂肪計などによる健康管理と健康を可視化して継続的なコミュニケーションを顧客と取っています。

【利益】
利益についても強い中堅企業は、顧客満足が先で、その結果として会社の利益という考え方が共通しています。短期的な利益を追求せず、一見非効率に見えても手間暇をかけてお客様の満足度をあげ、ブランド力を高め、その結果として業績に反映されてくると考えているのです。

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どうしても短期的な売上・利益に目が行きがちですが、数値の裏付けとなるお客様の満足度が如何に重要であるかを再認識すべきと思います。

以上、簡単にまとめてみましたが、本年度の経営の方向性を検討する際の参考にしていただきたいと思います。

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10月2日〜4日に幕張メッセで開催される「総務・人事・経理Week」に出展します。

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