マーケティングに力を入れよう ~リレーションシップ・マーケティング~

経営お役立ち情報

前々回、前回に引き続き、マーケティングについて取り上げます。今回取り上げるのは「リレーションシップ・マーケティング」です。企業にとって、新しいお客様を獲得することは重要なことですが、それと同等に同じお客様と継続して関係を築いていくこともとても重要です。

リレーションシップ・マーケティングの重要性

リレーションシップ・マーケティングとは、お客様との関係性に注目したマーケティングの手法です。

新規のお客様を獲得するには、広告宣伝費を使ったり、キャンペーンで値引きをしたり、とコストがかかってしまうため、結果的には適正価格で買い続けていただけるお客様を大切にした方が儲かります。

京都の飲食店などで、「一見さん、お断り」というお店があります。これは気取っているわけではなく、商売を続けてきた長い歴史の中で、既存のお客様を大切にしていくことが、結果的には儲かるという経験から来ているのです

お客様の段階

リレーションシップ・マーケティングでは、お客様を以下の6段階に分けて考えています。

・潜在客 : これからお客様になる可能性がある人
・顧客  : すでに購入いただいたお客様
・得意客 : 良く購入いただけるお客様
・支持者 : ロイヤリティ100%※のお客様
・代弁者 : 他の人に良さを広めてくれるお客様
・パートナー : 他のお客様を紹介していただけるお客様

※:ロイヤリティ100%=「牛丼は吉野家でしか食べない」など特定の企業からしか購入しない状態

代弁者やパートナーが増えると、企業は自然と大きくなっていきます。潜在客を顧客に変えることが俗に言う「新規開拓」ですが、顧客をいかにして得意客や支持者、さらには代弁者やパートナーに育てていけるかがとても大切です。そのために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

関係を深める方法①「一番を目指す」

突然ですが、日本で二番目に高い山は何かご存知でしょうか?

正解は南アルプスの北岳です。一番高い山である富士山を知らない人はまずいませんが、二番目となると意外と知られていません。ビジネスも同様で、一番と二番には大きな差があります。前述した6段階の関係を深めていくためには、お客様に主観的に自社を一番だと思っていただく必要があります。この「主観的に」というのがポイントです。

商品・サービスを選ぶ際には「日本一高い」というような客観的な基準はなく、人それぞれの基準で選びます。お客様からみて主観的一番になるためのQPSの組み合わせを考える必要があります。

関係を深める方法②「特別を感じさせる」

「自分は特別扱いされている」と感じさせることもリレーションシップ・マーケティングでは重要です。最近はポイントカードを登録すると誕生日にメールが届いたり、ポイントを付与されたりといったサービスがありますが、これも「あなたは特別です」と伝える手法です。

ちょっとした気遣いでも「特別」を作り出すことは可能ですが、そのためには従業員一人ひとりが、お客様一人ひとりを大切にしようとする気持ちが不可欠です。

関係を深める方法③「感動を与える」

「一番を目指す」「特別を目指す」ことは言いかえれば「お客様の満足度を高める」ための手段です。しかし、代弁者やパートナーになっていただくためには、満足度を高めるだけでは足りません。必要なのは「感動を与える」ことです。感動した経験は他の人に話したくなるものです。そのため、お客様を感動させれば、他の人に商品やサービスを薦めていただける可能性が高くなります。

最たる例はディズニーランドです。多くの代弁者やパートナーによって、その魅力が伝わり、常に大勢のお客様で賑わっています。

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今回紹介した「一番を目指す」「特別を感じさせる」、そして「感動を与える」の3つが重要なポイントですが、それらを実行するためには「お客様に喜んでいただきたい」という気持ちを持つことが必要です。お客様に喜んでいただこうと思っている企業は、結果として儲かります。この順番を忘れずに、経営していただきたいと思います。

<参考文献>
・小宮一慶(2017)『経営者の教科書』ダイヤモンド社